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光の宿っていない輝きを失った瞳
あれだけ豊かだったのに、その面影すらないほどに変わってしまった表情
新しい春を迎えて、やっと姿を確認する事ができた。
無事で良かった。安心した。本当ならそう思うはずなのに、俺の頭の中を占めるのは＿＿＿“目の前にいる人は俺の知るAAなのか？”というものだった。
「……ごう、えんじ。しゅうや？」
「そうだ」
苦しそうに告げられた自分の名前。
……何故か今、目の前にいる人物がAに見えなかった。
明らかに初めて俺を見たと言うような反応。
……嘘だと思いたい。まさかAが俺の事を忘れているなんて事を。
「一体今まで何をしていたんだ。連絡の一つもなく、何処で何をしていた！」
そんなことはないと思い、俺はあの後どうしていたのか、何をしていたのかと問うた。
しかし、返ってきた返答は……。
「なに、を……？」
「お前はサッカー強化委員として世宇子中に派遣されたはずだ！ ……そうだろう？」
「ぜ、うす……？」
不思議そうに俺の言葉に応えるA。
これでは本当に……。
「お前は！ 元雷門中のAAだろう！？ そして＿＿＿俺はお前の仲間だ！！」
こんなに声を荒げたのはいつぶりだろうか。
しかし、この状況下ではどうでもいい。
両手で華奢な肩を掴み、Aに伝わるように揺らした。
こちらを見上げる光のない瞳が大きく開かれていく。
そして＿＿＿
「うぅ……く、ぅう……ッ！！！」
呻き声を上げながら頭を抑え、蹲ってしまった。
Aは痛みを振り払うように首を横に振っている。
何故目の前にいるAは苦しそうにしている？
何が原因でAはこうなってしまった？
次々に起こりえる状況に何もできず、頭が混乱してきた時だ。
「＿＿＿ごうえんじ、さん……ッ」
「！！」
今、確かに俺の名前を呼んだ。
苦しそうな声ではあったが、今の声は俺の知るAの声音だった。
そして、一瞬だけだったが＿＿＿Aの目に光が戻っていたんだ。
だからだろうか。
俺の知るAが戻ってきてくれたと思ったんだ。
「分かるのか！？ しっかりしろ、A！！」
「あ、たまが……われ、そ……ッ！」
更に深く蹲ったAに手を伸ばしたときだ。
「AAを発見しました。直ちに回収致します」
突然聞こえた第三者の声。
見上げるとそこにはスーツを着た大人達がいた。
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年6月6日 0時
