とある女性マスターがヒーローを目指すお話 8 (ページ6)

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日常295　些細な事であろうともページ6

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「……はぁ」

嫌な予感は的中した。
なんとカルナが峰田君に槍を向けたのだ。
正確にはこの目で見たわけではない。令呪で動きを止めなかったらこの子は本気でやっただろう。
……私、直感スキルでも持ってるのかなぁ。

寝間着として持ってきた服に着替え、更衣室を出るとタイミングを見計らったかのようにカルナが現れた。
カルナの手を取り、荷物を持ったまま外へ出る。
お説教は見世物ではないからね。

「……で？誰が言い出しっぺ？」

「……」

またもや黙秘。こんな所で良い子ちゃんは出さなくていいよ！？
カルナはあくまで首謀者を守るつもりらしい。

「……俺はマスターを二度と目の前で失いたくない」

「……」

「もしあの者がマスターに仇名す者ならば、俺は排除しなければ納得できない」

「あのねぇ……ただの覗きじゃない。それも若い頃なら誰でもある過ちなんだから多めに見てあげれば良いじゃない」

「……俺にはそう言うものがよく分からない」

真面目故なのか、どうやら上手く利用されているようだ。
これは自分で割り出すしかない。

うーんと、前にあった更衣室での一件では小太郎が四郎から聞いたと言ってたな。
そこから考えると、恐らくみんなに峰田君に関する事は伝わっていると思ったほうがいいな。
えーっと、こういうのに過激な子は……ダメだ、多すぎて誰か特定できない。

うーん、と首謀者を特定しようと悩んでいると後ろに温もりを感じた。

「あの男と約束した。……必ずお前を守れ、と」

「！」

「どんな些細な事であろうと俺は気を緩める事はできない」

「……それにしては気を引き締めすぎだよ」

ゆっくりとした動作で後ろから抱きついて来たカルナ。
首元に回る細いようでしっかりと筋肉のついている頼もしい腕にそっと手を添えた。

「もっと楽でいようよ。確かに敵(ヴィラン)という存在が私を狙っている事は確か。……でも、カルナがいる。サーヴァント(みんな)がいる。……だから安心できるんだよ？」

「……」

無言で更に抱きしめてきたカルナ。
どうやら言葉だけでは彼の不安を取り除く事はできないようだ。

「さ、中に入ろうか。夏とは言え冷えるし」

「……あぁ」

肩に乗ったカルナの頭を軽く撫でた後、施設へと戻った。

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