とある女性マスターがヒーローを目指すお話 8 (ページ5)

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日常294　次は許しませんページ5

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突如男子風呂に短く響いた固い音。
その正体は人間離れの容姿を持つAのサーヴァント、カルナだった。
その手には黄金の槍が握られており、先程の音はこの槍が石畳の床に突いた音だと言う事が分かる。

「お前が例の人間か」

「れ、例？の？？」

峰田を見下ろすその眼は怒りを露わにしており、まさに「目で殺せる」という言葉が似合う。

「マスターの裸体を見ようとする愚か者を排除するよう申しつけられている。……小柄で特徴的な紫頭……お前の事だな」

「ひっ！？」

浴場にカルナの現在の格好はとても目立つ。
その容姿も相まって更に目立っている。もっというと、槍という物騒なものを持っているのでかなり目立っている。

カルナにとってもAという存在は大きなもの。
マスターである彼女に対する“害”が例え今目の前で起こった覗きというものでも、カルナが『害』や『悪』と受け取った場合、その相手を彼は敵とみなすのだ。
長々と言ったが、様はカルナは怒っているのだ。

「み、峰田も反省しているし……許してあげても」

「事実である事に変わりはない」

峰田を救おうとカルナに話しかけた上鳴だが、言葉を遮られ更には許す気はないと断言されてしまった。
これ以上横槍を入れた場合、被害は拡大するかもしれない。
カルナが持つ槍が炎を纏い、今にもこの場を焼き払う勢いである。

「Aに仕える者として、ありとあらゆる害からマスターを守るため俺はここへ来た。……悪く思うな」

槍の先端が峰田に向けられた……瞬間だった。

「……？」

身の危険を感じ目を固く閉じていた峰田だが、いつまで経っても来るであろう痛みが来ない事に片目だけ目を開ける。
彼の視界に映ったのは、金縛りにあったかのように動きを止めたカルナだった。

「嫌な予感がしたと思えば、何してるのランサー？」

女子風呂から大声でカルナに声を掛ける者。
それは彼のマスターであるAだ。

「まあでも、貴方が誰に対しても武器を向ける人じゃないのは分かっている。……首謀者がいるんでしょ」

「……！」

「ランサー、ちょっと私とた～っくさんお話しようか」

「先上がるね～」とAが一緒に入浴していた女子に声を掛け、湯から上がる音が響く。
それと同時にカルナが持っていた槍が消えた。

「……次はないと思え」

低くそう言い放った後、カルナは霊体化しその場から消えた。
鋭い瞳で見下ろされた峰田は顔を青ざめたという。

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