とある女性マスターがヒーローを目指すお話 8 (ページ13)

今日:9 hit、昨日:13 hit、合計:37,891 hit

日常302　治癒魔術、実践ページ13

・

マナが満ちているお陰でいつもより魔力の回復が早い気がする。……気がするだけだと思う。でもあるとないでやはり変わってくる。現にカルナの魔力供給は私を中継器にしてマナを使っている。

「お、Aも休憩か？」

「切島君。うん、そうだよ」

休憩していると切島君がやってきた。どうやら彼も休憩に入ったようだ。
流石にずっと個性酷使すると限界は来る。一定時間休憩を挟んでくれるみたいなので、それはかなり助かる。私は特に回復に時間掛かるから……。

「あ、ちょっと顔に切り傷できてるね」

「ん？ああ、これか？大したことねーよ」

「ちょっと顔貸して」

「！？ちょっ……A？！」

切島君の頬に両手を当てる。……昨日、相澤先生とマンダレイに話した内容を思い出す。
職場体験でお母さんと特訓した治癒魔術……それを使えるようになりたいからクラスメイト達で試したいと言うと、意外とあっさり了承して貰えた。
なので早速切島君で試そうと思う。

「じっとしてて」

「A……っ、ち、近い」

切島君に添えた両手に魔力回路が現れる。魔力を流すと、切島君の顔に出来ていた切り傷が癒えていく。

「よし、これでオッケー。どうですか、相澤先生」

「……これはすごいな。婆さんの個性みたいだ」

見回りをしていた相澤先生が丁度この様子を見ていたようなので尋ねた。

「具合はどうかな？」

「え！？ああ、全然！！痛くなくなった！！！」

切島君はちょっと顔を赤くして私の質問に答えた。そんなに後退しなくても……って、切島君。今度は顔青ざめてない？

「おいA……、何やっとんだ」

後ろから聞こえた低い声……かっちゃんだ。
私の肩に手を置いたと思えば力強く握りだした。肩揉みにしては痛すぎるんだけど。

「何って……見てたなら分かるでしょ？治療だよ」

「そもそもさっきの格好はなんだ！！ほぼ見えてんじゃねーか！！」

「見えてる、って……。ああ、セイバーの武装の話か」

仕方ないじゃない、あの子なりの芸術を追究した結果があの衣装なんだから……。私だって若干恥ずかしいと思ってる。

「あ、かっちゃんも治療していく？ずっと個性使ってたから筋繊維千切れてない？」

「……」

かっちゃんは無言で両手を差し出してきたので、治療してくれって事だろう。もう、そういうのはちゃんと口に出して言わないとダメだよ？私は何となく分かるけどさ。
そんな事を思いながら、かっちゃんの大きな手を握った。

・