日常154 VS轟焦凍 ページ43
・
会場に漂う冷気。
それはステージに立つ特徴的な髪の色を持つ少年、轟によって生成された氷塊によるものだ。
その氷塊の中心にいるのは対戦相手であるA。
「Aさん、動ける？」
主審のミッドナイトがAにそう問いかけた。
刹那
「火柱ッ！！？」
急に現れた火柱に実況マイクが驚きの声をあげる。
冷やされた空気が漂っていたが、今度は熱気で会場の空気が変化する。
どこからか、その熱気に対する言葉も聞こえてくる。
「まだ動けます、先生」
先程ミッドナイトが尋ねた言葉に返す声が。
その声の主は溶け残った氷の上に立つAだった。
「今度は白！！お洒落だなオイ！！！」
白く染まった髪はAの周りに飛んでいる火花の色を反射しているようで、やや赤く染まって見える。
先程の火柱の正体は彼女だったのだ。
「炎……、嫌がらせか何かか？」
「違う。……君が氷を使ってくるのを分かっていたから」
ステージに足を付け、Aは轟と対面する。
白く染まった髪に明るい青の瞳。
普段の彼女からは想像できないほどに、その表情は“無”に近い。
「個性使われる前に終わらせたかったんだが……、仕方ねェ」
轟が再度Aに向かって氷を生成する。
しかしそれをAは火の玉を作り出し、その氷に向かって飛ばした。
氷の欠片が太陽の光に反射して輝きながらゆっくり落下していく。
「……お前も、緑谷と同じで延長戦をする気か？」
「いいや」
手に黄金の槍を出現させ、Aは轟に向かって走って行く。
その間にも轟は氷をAに向かって生成していくが、炎を纏った槍にあっけなく破壊されてしまった。
「早めに終わらせる。……私が戦いたいのは君じゃない」
その言葉に轟た少し目を見開き、驚きの表情をちらつかせる。
「君に勝って……あの子と決着を付ける。だから……負けてくれるかな、轟君ッ！！」
Aは轟に向かって槍を構え、穂先から熱線を放った。
轟は素早く氷を自身の前に作り攻撃を防ぐ。
「溶けていない……？」
不思議そうにそう言った轟。
そう、Aが放ったのは熱線だ。轟は咄嗟に氷で防いでしまったが、本来は溶かされてしまうため無意味な行動と言おうと思えば言えるが……。
「……！」
轟は攻撃してきた本人を見て、短く驚きの声をあげた。
そこには自分よりも大きい槍を支えに立っているAがいた。
……口元に赤い液体を垂らしながら。
・
今日のサーヴァント
宝蔵院胤舜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 131人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恵野 | 作成日時：2020年8月13日 10時
