story 153 ページ19
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「……ここで悲しめば、今まで殺した人間に合わせる顔がなくなるだろ？」
私は死神。……殺し屋『死神』だ。
泣き虫で怖がりな『レオン』はもう殺したんだ。
「死神……」
「君が悪い事をした思う事は無い。……事実なんだから」
「でも……！」
まだ何か言いたげな様子のジョディの口に人差し指を当てる。
……これ以上話すな、と言うように。
「さて、空いた穴は私がカバーして見せるよ。……任務があればすぐに教えてくれ」
「ま、待って！」
ドアに向かって歩き出したとき、ジョディが私を呼ぶ。
それでも歩みを止めない私に手を伸ばした。
「……！」
「じゃあ。……明日は教師に戻らないといけないから、先に帰らせて貰うよ」
ジョディが伸ばした手を躱し、部屋から退出する。
……気にすることないのに。
どうしてあんな悲しそうな顔をして私を見るんだ。
「……今日は満月か」
病院を出たところで、空を見上げた。
夜空に浮かんでいたのは丸い形になった月だ。
……満月は素の姿になるには明るすぎる。
駐車場へと入り、自分の車を止めている場所まで歩く。
ロックを解除し運転席へと座る。
「……！」
ふと香ったもの。……煙草の匂い。
その匂いは助手席に染みついているようだった。
「……死んだ人間の事は忘れよう」
私とFBIは依頼で繋がった関係。
それ以上の感情はいらない。……いらないはずなのに。
「……少しだけ」
少しだけ気を許してもいいのかも、と思ったんだ。
丁度良かったんだ、その距離感が。
「やっぱり私は……“僕”は悪魔なんだね」
神の存在は正直信じていない。
だけど自分に都合の良い願いは叶わないのを思うと、神は本当に存在していて悪魔である自分の願いが叶うことを良しと思わない。
「ごめんな。……私が少しでも“良い”と思ってしまったから、お前を死なせてしまった」
エンジンを掛け、車を発進させる。
行き先はレイラ・スカーレットの住処として借りた部屋。
「おやすみ、蓮。…………おはよう、レイラ」
静まり返った夜の街は、車のエンジン音が聞こえる程に静かだった。
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ココア - わかりました！気長に待ってます。今回も面白かったです (2021年4月14日 18時) (
レス) id: 465cc8c13a (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - ココアさん» コメントありがとうございます！一応不定期更新になっておりますので、気長に待って頂けると…！ (2021年4月10日 18時) (レス) id: a722acc2d1 (このIDを非表示/違反報告)
ココア - 面白かったです。続きお願いします！ (2021年4月9日 17時) (レス) id: 9b166c347a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2020年10月16日 18時
