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「……！悪魔に、意識を支配されるなど……っ、何という事だ……」
セインと呼ばれた人物がこちらに手を伸ばす。
「止めてくれ！我らの手が、汚れぬうちに……っ！」
「セインッ、セイン！！」
円堂さんがセインの名を呼ぶも、彼から応答の声はない。
どこからか転がってきたボールを手に持ち、高らかに笑いながら円堂さんに向かって強力なシュートを放ったのだ。
「円堂！」
セインの放ったボールを円堂さんは止めようとしたが、威力に負け吹き飛ばされてしまった。
先程の苦しげな表情はどこへやら、セインの表情は怪しい笑みを浮べてこちらを見下ろしていた。
「お前達の魂、寄越すが良い」
「サッカーは……そんなことの為に使うんじゃない。お前は、俺たちと試合してサッカーの楽しさを分かってくれたんじゃないのか！？」
セインは円堂さんの問いに「知らん」と一刀両断した。
「我らは魔界も天界も超えた存在……。『ダークエンジェル』、魔王なのだ！！」
デスタがそう言葉を放った瞬間、辺りが暗くなった。
そして、僕達の周りにスポットライトのようなものが現れた。
「戦って分かった……お前達の魂は素晴らしい。よって、我々がより完璧な魔王になるための生贄にしてやるぜ」
パチッと指が鳴る音が短く鳴り響いた。
それと同時に周りを回っていた光の丸は消え、それぞれの人物に光が当たった。
「今光に包まれた者が、選ばれた11人だ」
その光は僕にも当てられている。
隣にいるフィディオにも当てられていて、互いに顔を見合わせた。
「共にこの11人、儀式を行う」
「ちょっと待ちぃ！11人ちゃうやん！！」
デスタの発言にそう言葉をぶつける者が。
その言葉の主はリカさんだった。
「数えてたけど、こっちは12人に光が当たってるで！故障ちゃうか？」
そんな漫画みたいな話、あるわけないじゃん……。
リカさんの言葉にそう思いながら、自分を除く光に当たっている人を数える。
「ほんとだ……、僕を入れたら12だ……」
「せやろー？」
ボソッと僕が呟くと、ククク……ッと笑い声が聞こえた。
その声の主はデスタだった。
「喜べ人間。お前の魂は俺が喰ってやる」
こちらを指さして、デスタはそう言ったのだ。
……はぁ！？
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作者名：恵野 | 作成日時：2020年6月16日 23時
