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『びっくりしただろ？でもまだ未完成なんだ』
「未完成？なんで？」
なんで未完成？
半田さんの言葉に首を傾げていると、円堂さんが僕と全く同じ事を尋ねていた。
『看板。そっちに持って行っただろ？』
「あっ！そうだった」
「お守り代わりに持って着ちゃったッスね」
サッカー部の部室の看板、こっちにあるのか。
日本を出る前、イタリアに行くことになった事を伝えに学校に寄ったときに見たけど、まだ部室は壊れたままだった。
後から聞いたけど、あの部室を壊したのはレーゼことリュウちゃんだったらしい……。
てか、どアップの影野先輩に誰もツッコまないの……。
「ごめんごめんっ、帰ったら付けるよ」
『うん！』
僕は間違いなくその瞬間を見る事はできない。
建て直された部室を見る事ができるのも、いつになるか分からないし。
『決勝戦、ここに集まってみんなで見るからな！』
『応援してるでヤンスよ！』
『みんなっ、エールいくよーっ！』
画面越しにイナズマジャパンへのエールが送られる。
……これは絶対に優勝しなきゃね、円堂さん。
ちらっと部活創設者を見てみれば感動しているのか、目尻に涙を溜めていた。
「みんな、ありがとう！！頑張るぜ！！」
「世界一になってやる！！」
「俺、盛りやがってきたッスー！！」
雷門中サッカー部メンバーの言葉を聞いていればまたエールが始まった。
まあ気持ちは分かるけどさぁ……。このエールずっと続きそう……。
それくらい、期待されてるって事だよね。
＊＊＊
「Aー！！サッカーしに行こーぜー！！」
ノックして扉を開け、僕の名前を呼んだのは条ちゃんだ。
側には勇気と虎丸、壁山に木暮、雷ちゃんもいる。
「あんまり練習し過ぎると本番に影響出ちゃうぞー」
「でもあんなエール送られちゃったら、いてもたってもいられないじゃないですか！」
「虎丸、やる気十分じゃん」
サッカーボール片手に虎丸が近づいて来たと思えば、僕の腕を取る。
……強制って訳ね。
「お前もやるだろ？」
「やっていいの？」
「なんでしない一択なんだよ」
「だって僕試合でないし……」
「なら、俺達の練習に付き合って欲しいッス！」
「よーし分かった。僕のシュート打ちまくってあげよう」
実はこっそり抜け出してサッカーしに行こうかな、と思っていたのは秘密。
「ほら行くぞ、A」
「行くから行くから。腕引っ張んないでよ勇気〜」
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作者名：恵野 | 作成日時：2020年6月16日 23時
