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「必殺技を一度も使わなかった……！？」
「ああ。シュートする時も、ボールをキャッチする時もな」
「フィディオの“オーディンソード”とAの“ワルキューレソード”が通用しなかったという事か……！？」
「うん。あのGK……ロココって言ったかな。全部必殺技なしで止めてたよ」
鬼道君の驚いた声に、その時の光景を思い出しながら答える。
“必殺技を一切使わなかった”
強力な必殺シュートを必殺技なしで止めてしまうほどの実力……。
その事実は、次にリトルギガントと対戦するイナズマジャパンには脅威だろう。
「一番驚いたのは、“シャイニングエンジェル”を必殺技を使わずに止めた事かな」
Aが自力で習得した“ワルキューレソード”の元になった必殺技……“シャイニングエンジェル”さえも必殺技を使わず止めてしまのだ。
一体どんな特訓をしているのだろう……。こんな事が気になってしまっているなんて病気レベルだな。
「その技はAが一度も破られた事のないっていう必殺技じゃ……！？」
「おや、知ってたんだ。そう、俺が考案したAの特質を生かした必殺技なんだ」
青く長い髪の男の子……風丸君、だったかな。
この技の事を知っている、って事はAが話したのかな。まあ隠す事でもないけど。
「性質、ですか」
「うん。それさえ見破れば“シャイニングエンジェル”を止める事が……いや、そもそも使わせないようにする事もできる」
「！そんな事が……」
この様子だと、“シャイニングエンジェル”が何で構成されているのか知らないな。
良い機会だ、教えておこう。
「“シャイニングエンジェル”はAの素早い動きを生かした必殺シュート。……実はあの技、そんなにパワーはないんだ」
「言われてみれば、あの試合で見た時もボールの速さにGKが反応できていなかったな……」
鬼道君の呟きが本当なら、Aは彼らの前で“シャイニングエンジェル”を使った事がある、と言う事だな。
「だからと言って止められるのか、と言われるとそうじゃない。Aは女の子だから男の子と比べると当然力は無い。そのパワーを補っているのがスピードなんだ」
「じゃあ使えるのが三回までだと言ったのは……」
「体力の問題だね。昔は一回打つのさえギリギリだったから」
これで分かったかな？
“シャイニングエンジェル”の盲点を。
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作者名：恵野 | 作成日時：2020年6月16日 23時
