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「えっ……？響木さんが……？」
練習が終わり自分に当てられた部屋へ戻ってきた時、電話が掛かった。
電話主は春奈だった。
その内容は響木さんが病院に運ばれた、という事だった。
他にも声が聞こえるので、周りに誰かいるんだろう。
「なんでそんな……！！」
『響木監督、前から心臓に病気を患ってたみたいなの……。手術もFFIが終わるまで待って欲しい、って断ってたみたい……』
言葉が出てこなかった。
まだ意識は回復していないようで、どうやらイナズマジャパン全員で病院に来ているそうだ。
『Aにも伝えようって思って掛けたんだけど……。余計だったかもしれない』
「……なんで？」
『だって、お兄さんの事があるし……』
春奈は僕にこの事を伝えるかどうか迷ってたらしい。
……確かに、まだ兄さんは完全に病気が治った訳では無い。余計な不安を募らせたらと思ったのかも。
「もう！そんなわけないじゃん！！教えてくれなかったら怒ってたもん！！」
『！A……』
「確かに今は敵だけど、僕だって響木さんにはお世話になってたんだ。心配するに決まってるだろ……？」
『そうよね、迷う必要なんてなかったわ』
仲間外れなんて事されたら悲しいじゃんかよ。
でも春奈なりに心配してくれてた事は分かった。
「かける言葉がなくてごめん……。教えてくれてありがとう」
『いいえ。……なにか分かったら伝えるわね』
「うん、お願い」
プツッと切れた通話。
……明日、イナズマジャパンはブラジル代表『ザ・キングダム』との試合なのに。
精神攻撃というのは物理攻撃よりかなりダメージが来る。……僕も体験したことがあるから、良く分かる。
「イナズマジャパンの試合が終わった次の日は……僕達の準決勝だ」
僕達オルフェウスの相手はコトアール代表『リトルギガント』。
ありとあらゆる手段を使ったが彼らの情報は掴めずじまい。
「僕はイタリア代表を世界一にするんだ。……そして、今度こそ日本代表と本気の勝負をする」
イナズマジャパン。
明日の試合、負けないでよね。
僕達も勝つからさ。
……大丈夫、響木さんは負けないさ。
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作者名：恵野 | 作成日時：2020年6月16日 23時
