155 ページ5
・
「！Aさんっ」
「秀次…！いらっしゃい」
次の日
病室の扉が開いた音に反応して顔を上げると、そこには髪がボサボサな秀次がいた。
「どうしたの秀次。髪、ボサボサだよ？」
「そんなことはどうでもいいんですっ。……良かった…ッ」
そう言ってベットの近くにある丸椅子に座って、項垂れた秀次。
「秀次」
「？何ですか？」
「こっちにおいで」
私がそう言ったので、秀次は椅子から立ち上がり、少し近くに移動してきた。
私は近くに置いていた櫛を手に持つ。
「え、Aさん？」
「髪を整えてあげる。ほら、おいで？」
「……失礼します」
少し固まった後に、頬を少し赤らめながら秀次は頭を少し下げた。
…うん。秀次はやっぱりサラサラな髪の方が似合ってる。
そう思いながら、秀次の髪を整えてあげる。
「はい、出来た」
「ありがとう、ございます…」
頭を上げてお礼を言う秀次。
間近で顔を見て、思ったことを言う。
「あ、前見かけた時より隈が取れてる。休めたの？」
「はい。少しだけ」
そう言って微笑む秀次。
何時もこんな風に笑ったら良いのに。
「俺、Aさんをこんな目に遭わせた
「そうなの？ありがとう、秀次」
頭を撫でて上げると、「止めて下さい…」と秀次が小さく言った。
そう言っている割には、大人しく受けてるじゃない。
「…いつ、退院出来るんですか？」
「2月中には退院するよ」
「無理、しないで下さいね」
「あはは。これでも順調に回復してるんだけどな」
困り顔の秀次に、笑いながらそう言った。
「…Aさんが、いなくなると思いました」
「いなくならないよ。まだまだ、ボーダーの為に戦わないといけないし」
「そういう事を言った訳じゃないんですけど…」
「あれ、違うの？」
秀次の言葉に首を傾げながらそう言った。
…あ、分かった。
秀次の頬を両手で触れて、顔を近付ける。
「…お姉さんと重ねたでしょ」
「！！」
「もう…。今回はヘマしちゃったけど、次はこんな風にはならないから」
秀次の態度を見て、やはりそうだったか、と思った。
そして、今度はこうならないよ、と宣言した。
「…俺が、Aさんを守ります」
「うーん、私が秀次を守るよ？」
「いや、俺が守ります」
「いやいや、私が…」
この後、忍田さんが来るまでずっと言い合っていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
迅さんファン - 恵野さん» おぉ、ありがとうございます！基本的に機械には強いんですけど、変なとこで鈍くて…教えてくれてありがとうございます (2020年8月2日 3時) (
レス) id: c2696f1d0a (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 迅さんファンさん» このページの一番下にあります、作者名に書かれている私の名前をクリックまたはタップして頂くと、私の作品一覧ページへ飛びます。そこにTwitterのアカウントを記載していますのでそちらをコピペして頂いて検索をかけてください！アカウント名は作者名と同じです！ (2020年8月2日 0時) (レス) id: a722acc2d1 (このIDを非表示/違反報告)
迅さんファン - Twitterのアカウント名はなんと言う名前ですか？ (2020年8月1日 23時) (レス) id: c2696f1d0a (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - みうなさん» ありがとうございます！！この作品を読んで頂き、感謝です！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: e99f77392e (このIDを非表示/違反報告)
みうな(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いつも楽しく読んでいました。本当にありがとうございます！！お疲れ様でした！ (2020年5月7日 14時) (レス) id: a285ab83dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恵野 | 作成日時：2020年4月29日 20時
