21.積み込み ページ22
｢楽器を積み込むので昨日受け取ったところに持っていってください。
バイオリンとビオラは1人2つ持てるから
余った人は譜面台。｣
｢了解しましたー｣
私はコントラバス運ぼう…
みんなバイオリンやビオラの方に行っているのでチェロが置いたままだ。
｢あの…チェロ…あの…｣
こういうとき大声を出すのは苦手だ。
焦りだしたとき、祐翔くんが近づいてきたのでさっきより少し大きい声で言ってみた。
｢祐翔くん…！チェロ…運べますか…｣
｢いいよ。運ぶものなくて暇やったから…｣
｢ありがとう｣
｢持っていくよー｣
ぞろぞろとついていく。
チェロのケースは背負える。
コントラバスは背負えないこともない…
でも私の身長では浮かない。
祐翔くんはしゃがむのがめんどくさいらしい。
｢今日はいろいろあって私の車しか使えません。往復するので先にバイオリンとビオラお願いします。｣
｢楽器積み込んだ人から帰ってください。
楽器受け取りは3年がやります。｣
｢了解しましたーお疲れ様でした。｣
みんなどんどん帰っていく。
もう気づいたと思うが
残ったのは私と祐翔くん2人だ。
静かになって少し恥ずかしくなってきたので
｢わー2人だねー｣
と言ってみた。
｢みんな帰ったからなー
しばらく待たなあかんかな｣
ずっと何か引っかかってる…
｢そやなぁ…この暑い中で…あ！わかった！｣
｢ん？｣
｢なんか今日祐翔くん違うなぁと思ってたら今日長袖！
いつも半袖やからなぁ｣
｢うん。そのおかげでいつもより暑く感じる。｣
確かに長袖の方が肌に触れる面積が広いから暑い気がする。
｢私は長袖の方が好きやなぁ｣
｢夏でも？｣
夏でもずっと長袖は脱水症状になりそう…
｢カッターシャツは長袖の方がいい。
普段は半袖がいいなぁ｣
｢俺はずっと半袖や｣
｢あとね、私は祐翔くん長袖の方がいいな｣
｢うん？｣
伝わっていないようだ。
私は相手に上手く伝えるのが苦手だ。
語彙力がない、と言うのだろうか。
｢私は長袖着てる祐翔くんの方がかっこいいと思うってこ…と…｣
｢え…あ…ありがとう…｣
今とても恥ずかしいことを言った…！
絶対今私の顔真っ赤だ…！
｢ごめん…！私めっちゃ恥ずかしいこと言った…！｣
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作者名：もにょもにょ | 作成日時：2016年8月2日 20時
