蒼き太刀 【弐】

七十九話 ページ33

どうやって逃げれるか考えていると蝶屋敷の玄関が開く音がして、皆の注意が一瞬そちらに逸れた。
その隙を付いて水の呼吸で逃げ出すとホント、柱って怖いよ。すぐ後ろについてくるんだもん


貴「ひぃっ！付いてくるなぁぁ」

甘「だって！気になるじゃない！A君の好きな人とか知らなかったし！」

宇「おいおい！俺様にも言えねぇ相手なのか？？」


病み上がりの奴を全力で追うなんてどうかしてる。
そう叫びながら玄関に向かうと、緊張していたせいか近くに行くまで気付かなかったが自分が大好きな匂いがした。
そう、このタイミングでだ


宇「義勇！Aを捕まえろ！！好いている相手の名前を聞き出すんだ！！」

義「何…？」

貴「ちっ、ちが！誤解だ…ｯｯ！！！」


不機嫌な時に出す匂いを感知したAは離れようとしたが、後ろは柱に前は恋人。
逃げれるわけがなく義勇の腕の中に閉じ込められた。
そして流れるように唇を奪われそれを見ていた全員が口を開けて固まった。
当たり前だ、誰が野郎の口吸いを見て喜ぶんだよ


貴「『兄上』ｯｯ！！！！」

義「……」

貴「なにするんですか！！」

義「敬語…」

貴「………バレたじゃないか」

義「別に良いだろう」

甘「まさか…A君の相手って…冨岡さん？？」

義「そうだ」

し「遅いんですよ貴方はいつも、だから嫌われるんです」

義「もう捕まえたからいい」


嬉しそうに言う義勇に耳まで赤くしながらAは色々と爆発して気絶してしまった。

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