延長でお願いします！

理由•弍 ページ9

「んとね、Aちゃん。あ、勝手に名前で呼んじゃうけど良いでしょ」
「！あ、はい。大丈夫です」
急に名前を呼ばれたことにどきりとしつつも、不破さんの言葉を待つ。
「Aちゃんが入ってくる前にバイトスタッフの子が居たんだけどね、その子がとんでもない子でね…」
話を纏めると、前までいたバイトスタッフの子が所謂”ガチ恋勢、メンヘラ“で、標的が剣持さんだったらしい。日頃から剣持さんを持ち上げ、他を下げる言動が目立っていた。最終的には他のスタッフやメンバーに危害を加えそうになり、追い出されるような形でクビになったようだ。
「それでもちさん、責任感じちゃっててね。バイトの子が全面的に悪いからもちさん何にも悪く無いんさけどさ」
俺みたいにへらへら躱せれば良いんだけど真面目だからなぁ、もちさんは。そう言う不破さんの瞳はどことなく優しい目で。不破さんの方が年上な為、弟を見るような気持ちなのかなと勝手に感じてしまう。
「あの、お話ありがとうございます！剣持さんがああいう感じなのも理解しました。嫌なのであれば干渉はしませんし、やり取りも叔父を介してで大丈夫です！」
「いや、気を使わせたい訳じゃないんだよ！ただ俺らがずっとこんな態度とってるのも悪いし、確認できるとこはしたくて、」
しどろもどろに話すふわさんに思わず笑みが溢れる。
「んふふ、ありがとうございます、不破さんの様子から分かりました。…そうですよね、叔父に迷惑をかけるわけにもいかないし、円滑な仕事の為にも害の無い人間アピール頑張ります！」
拳を作り腕を掲げると、不破さんも一緒に腕を掲げてくれた。
「ROF−MAOの繁栄の為に、やるぞーっ！」
「ふふ、おー！」


ー初出勤はROF−MAOへの想いが芽生えた日となった。

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