いざ。東京 ページ3
奔放主義の両親だったこともあり、東京へバイトに行く話はトントンと決まっていった。
夏休み初日。
大きなキャリーケースをがらがらと引きながら、憧れの東京へと降り立った。
「着いたーーーーーッ!!!」
あちらこちらをキョロキョロと眺めていると、叔父は笑いながら今日の予定を伝えてくれた。
「今日は番組の出演者、ROF−MAOのメンバーとの顔合わせと業務内容の説明。っと言ってもAに任せるのは雑務だからそんなに気負わなくて良いからな。」
そう、私が任される仕事は基本的に買い出しや道具の準備、片付けといったもので、収録には参加しないらしい。
撮影の前後が業務時間なので、日中は自由時間だそうだ。
どこに行こうか、考えを巡らせながら叔父の後をついて行くと、一際大きなビルの入り口の前に立っていた。
「ちょっと待ってろ」
その言葉と共に叔父は中に入っていった。手持ち無沙汰になり、あたりをうろうろしていると、視界に紫が映った。
「こんな所で何してるんですか。」
声の主を見ると、そこには同い年くらいの顔立ちの整った青年が居た。ただし浮かべている表情は嫌悪感を露わにしている。
「社員やスタッフでは無いですよね、好きだからって迷惑をかけるのはお門違いじゃないですか。」
捲し立てるように喋られて困惑していると、ようやく中から叔父が出てきた。
「A遅れてすまんな〜、って剣持さん?今日は早いですね。」
「叔父さん!!」
「お疲れ様です。…この方はディレクターのお知り合いなんですか?」
「姪っ子のAだよ。ROF−MAOの手伝いをして貰おうと思ってな」
「…今回は大丈夫なんですよね」
「まあまあ…前回は…で……」
いつの間にか2人で話し込んでしまったようで、あっという間に私は蚊帳の外になってしまった。
数分後、叔父がくるりと私の方を向き、
「と、いうことでこの方がROF−MAOのメンバーの一人、剣持刀也さんだ。」
「何が“と、いうことで”なのかは全くわからないんだけど、…よろしくお願いします」
「…よろしくお願いします、スタッフさん。」
スタッフ、という言葉に引っ掛かりながらも私のバイト生活は始まるのだった。
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水(プロフ) - realさん» 夢小説を書くのは初めてなので、そう言ってくださると励みになります!ありがとうございます! (6月30日 19時) (レス) id: 3a5445a685 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - めっちゃ面白いです(*´-`)主人公ちゃんかわいいwこれからの展開が楽しみです! (6月30日 11時) (レス) @page12 id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
水(プロフ) - 職員ジーニーさん» お読みいただきありがとうございます!頑張ります! (6月30日 10時) (レス) id: 3a5445a685 (このIDを非表示/違反報告)
職員ジーニー(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます! (6月29日 19時) (レス) @page2 id: da50b82fa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水 | 作成日時:2023年6月27日 12時