おつかい2 ページ19
「Aさんは仕事終わりなんですか?…暗いし、もし良ければ送ります。」
最後の方は恥ずかしいのか少しごにょごにょと声が小さいなっていた。横で不破さんが笑っているのは触れないようにして、私は返答する。
「甲斐田さん、お気遣いありがとうございます。ただ、まだ仕事が残っていまして…」
先程叔父に頼まれた内容を簡潔に伝えると
「じゃあ僕が車で取ってきますよ!」
「いいじゃん一応甲斐田運転できるし」
「い、いやいやいや!大丈夫ですよ!!」
とんとんと話が決まりそうになってしまって、慌てて断りを入れる。
「でもこれから3往復しないといけないくらいの荷物なんでしょ、だったら車の方がいいよ」
社用車も今空いてるはずだし、もう日も落ちちゃうしねと2人に言われるが私も一応スタッフなのだ。二人の手を煩わせては行けないと頑として断りを入れるが
「スタッフとしてじゃなくてAちゃんが未成年の可愛い女の子だから言ってるんだけど」
「こういう時は大人に頼っていいんですよ」
そう言われ、どう返答しようか迷っている間に甲斐田さんが社用車を取りに行ってしまった。追いかけようとするも不破さんにがっちりとホールドされてしまう。
「Aちゃんは甲斐田が戻ってくるまで大人しく俺と待っててね」
普段より近い距離で話された言葉にうっと詰まっていると、そのままつらつらと不破さんが話始めた。
「どう、仕事は慣れた?」
「…はい。みなさん優しくて、申し訳ないくらいで」
バイトとはいってもやはり叔父がディレクターだからなのか、周りが気に気を遣われているようで申し訳ないとずっと思っていた。
「今日の荷物の事だって、叔父がギリギリまで自分でなんとかしようとしてたらしいんですよ。…すぐ私に頼んでくれたって良かったのになぁ。」
…やっぱり頼りないんですかね、ふとでた自分の言葉に思わず口を塞いでしまう。すいませんと謝ろうとして不破さんを見ると何か言い淀んでいる様子だった。
「…Aちゃんはさ、頑張ってるよ。多分あんまり関わりがない俺が言っても不安とかはあるんだろうけど、それでもちゃんとみんな頑張ってるとこ見てるからさ」
あんまり無理しないでね。ーそう言いながら不破さんは私の頭を撫でた。
じわりじわりと目頭が熱くなる。
「すいませッ…、っありがとうございます!」
今まで隅にいた自分の中のもやが少し軽くなった気がした。
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水(プロフ) - realさん» 夢小説を書くのは初めてなので、そう言ってくださると励みになります!ありがとうございます! (6月30日 19時) (レス) id: 3a5445a685 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - めっちゃ面白いです(*´-`)主人公ちゃんかわいいwこれからの展開が楽しみです! (6月30日 11時) (レス) @page12 id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
水(プロフ) - 職員ジーニーさん» お読みいただきありがとうございます!頑張ります! (6月30日 10時) (レス) id: 3a5445a685 (このIDを非表示/違反報告)
職員ジーニー(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます! (6月29日 19時) (レス) @page2 id: da50b82fa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水 | 作成日時:2023年6月27日 12時