だまされました。

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1時間って、こんなに長かったっけ。
もしかしたら時計壊れてる？なんて。

そう思ってしまうほど、全然時間が経たない。



「次何飲む？あ、ここワインも美味しいんだよ」

「あーわたしワイン苦手なんですー」



あははって乾いた笑いを返すも、
全く響いてない様子で。

ひたすら修行のような時間。




あーあ、中打ち上げのときも、山崎さんたちとのご飯もあっという間だったのにな。

ついあの楽しい時間を思い出してしまうわたし。


なんならさっきからずっと、頭の片隅に菅田さんと中村さんの姿がチラついてて。



…………これじゃ、本末転倒じゃん。
現実見るために、この飲み会に来たのに。






「あーもう、お腹いっぱい」



そのとき、どうやら限界がきたらしいなつみの声が響いて、思考が遮られた。



「そうですねー、じゃあそろそろ出ますか？もうすぐ時間来ちゃいますし」

「あーほんとですね、気づかなかった〜」



それが合図みたいに八木さんが続くから、
わたしも合わせて。


さすがに後輩くんも何かを感じ取ったらしく、
まだ20分余りの時間を残して、お開きへと動き出した一同。



良かった、とりあえずさっさと帰って寝よう……

幸い、寝たら忘れるタイプだもん。
この飲み会の疲労も、別の妙なそわそわも、
明日にはスッキリしてるはず。



まだ部屋すら出てないのに、もう完全に終わった気でそんなことを考えてるわたし。

さっさと帰り支度を済ませながら、
ふとスマホをつけて、一件の通知に気づく。



“いい人見つかりましたか？”



……いつの間に、来てたんだろう。
菅田さんからの、メッセージ。




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