32 ページ32
.
“ごめんなさーい”
トイレに入れば、グループLINEに八木さんからのメッセージが追加されてて。すぐあとに、なつみから怒ってるような変な鳥のスタンプ。
核心的なことは言わなくても、
それだけでなんとなく分かっちゃう。
どうやらみんな、同じようなことを感じてたらしいことが。
わたしも適当に怒ったスタンプを送れば、
めちゃくちゃ謝ってるピンクのうさぎが3連発。
思わずふふ、て声が出る。
結局、こうやって女子だけであーだこーだやってる方が楽しいんだよなぁ。
“時間制限あるらしいんで”
“とりあえずあと1時間がんばりましょー！”
八木さんのメッセージに気合いを入れ直したら、
メイクを軽く直してからお手洗いを出て。
個室に戻る最中にも、無駄にスタンプを送って遊んでたら、
「っと」
「あ、ごめんなさい……！」
曲がり角で危うく人とぶつかりそうになる。
思わず謝りながら顔を上げれば、
「……あ」
「えっ」
まさかの、
「え、ここで飲んでたんや」
菅田さんだ、え、なんで……？
急な登場と、なぜかわたしが飲み会なの知ってたみたいな口ぶりと。もう、頭が追いつかなくて。
「あはははまた固まっとる」
「や、あの、どうして……」
「あー今日撮影やってさ、終わってそのまま倫也さんとご飯来てん」
知りたかったことの、半分が分かって。
中村さんもいるなんて。
なんだか、妙にそわそわしちゃう。
「それにしてもまさか店被るとはな〜すごい偶然」
「そうですね、ほんとびっくり……」
そのとき、前から人の気配がして。
「あ、じゃあ失礼します」
「うん、じゃあまた」
慌てて立ち去ろうとすれば、状況を察してくれた菅田さんもすぐに歩き出したけど。
すれ違いざま、
「頑張ってな」
ふふ、て笑う気配とともに。
その小声がしっかりと届くくらいの距離で。
…………ちょっと待って、不意打ちはやばい。
普通なら、合コンってバレてることを恥ずかしがるところだけど。そうでなければ、教えたであろう福田さんに怒っちゃうところなんだけど。
それよりも、左耳に残る低い声と、
タバコ混じりのほのかな香りが頭を占領してて。
頑張れなんて言われたって、
もう菅田さんのせいで、合コンどころじゃなくなってる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 499人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハコ(プロフ) - コメントありがとうございます〜ただいま多忙につき更新停滞中で申し訳ございませんがのんびりお待ち頂けると嬉しいです´`*よろしくお願いしますﾍﾟｺﾘ(.. ) (2020年11月12日 9時) (
レス) id: 2cc286783b (このIDを非表示/違反報告)
Waaaaka03(プロフ) - とっても面白いです！トプコ好き、倫也さん好きの私には美味しすぎるお話しです！またぜひ更新楽しみにしてます！ (2020年11月10日 17時) (レス) id: cdc37d69d8 (このIDを非表示/違反報告)
そぼく(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしています(^^) (2020年7月23日 1時) (レス) id: f0643b20a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハコ | 作成日時：2020年5月22日 8時
