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茶屋で茶漬けをがつがつと食べる敦。その隣に狐の少年___南吉。そして、前に国木田と太宰が座る。
国木田はまだ怒りが拭い取れていないようで、太宰に予定が遅れたと文句を云っている。
「国木田君は予定表が好きだねえ」
無自覚か確信犯か、その言葉は火に油を注ぎ国木田をさらに怒らせる。国木田は怒りに任せて机を叩き、己の手帳が予定表ではなく『理想』である事を説き伏せる。
「ぬんむいえおむんぐむぐ?」
「五月蝿い。出費計画の頁にも『俺の金で小僧が茶漬けをしこたま食う』とは書いていない」
「駄目じゃん。なんで書いとかないの」
「黙れ南吉」
むぅ、と南吉が頰を膨らませ狐の縫い包みに顔を埋めた。
却説、敦が約束通り三十杯ばかり茶漬けを食べ終わると、流れで彼の過去の話になった。
「ふうん。君、施設の出かい」
「出と云うか……追い出されたのです」
その言葉に太宰は同情の言葉を述べるが、国木田は冷めた返答をする。南吉は相も変わらず狐の縫い包みと何やら会話をしている。
「お三方は……何の仕事を?」
「なァに……」
探偵さ。
太宰が人差し指を立て気障に云うが、突拍子も無い言葉に敦はぽかんとしてしまう。それどころか、何処か呆れているような顔をされ国木田が舌打ちをした。
「探偵と云っても猫探しや不貞調査ではない。斬った張ったの荒事が領分だ。異能力集団『武装探偵社』を知らんか?」
『武装探偵社』。
曰く、軍や警察に頼らないような危険な依頼を専門にする探偵集団___。
昼と夜の世界、その間を取り仕切る薄暮の武装集団。
そして、その社員の多くが異能の力を持つ『能力者』である。
「首吊り健康法」について語る太宰、それを信じる国木田、縫い包みと会話する南吉。
彼らを見て「本当かなあ……」と思った敦は決しておかしくはない。
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メガネ第2号(プロフ) - 大変遅くなりました。夢主イラスト完成致しました。イラスト集より御覧下さい。 (2018年9月30日 21時) (レス) id: 7ea110fa6c (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - アリスさん» ですよね☆ (2018年9月23日 21時) (レス) id: 3bf1773c08 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 市さん» 誰が見てもそうですよ、ごんぎつねとかごんぎつねとかごんぎつねとか← (2018年9月23日 21時) (レス) id: aa81118cef (このIDを非表示/違反報告)
ザクロ(プロフ) - 市さん» 構図からして可愛いもんね。 (2018年9月23日 2時) (レス) id: cf0e41908a (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - ザクロさん» まあ普通の人が考えたら狐の縫いぐるみ抱かせるよね。 (2018年9月23日 2時) (レス) id: e1bf82577f (このIDを非表示/違反報告)
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