ポートマフィア参謀は幼女らしい。

任務失敗の代償らしい。 ページ33

『樋口！』
樋「エト嬢！？何故ここに…！」
『いいから！エトも連れてって！』



樋口が小型ボートを出そうとしていたその時、エトがやってきて後部座席に乗った。樋口は戸惑いながらも発進する。暫く走っていると、黒い人影が水面に浮いていた。



樋「芥川先輩っ！！」
『芥川…！』



樋口は上着を脱ぎ、海へ飛び込んだ。



＊＊＊



森「下顎骨剥離骨折。前頭骨・胸椎列離。頸部靭帯損傷。…そして昏睡。」



樋口の目線の先には、食事をする森がいた。その傍にはエリスとエトが無言でニコニコと笑っていた。



森「任務失敗の代償という訳だ。」
樋「申し訳ありません。」



森が資料を手に取る。



森「此の儘意識が戻らぬかも知れないね。」
樋「そんな！」



樋口が顔を青くすると、森は些か不機嫌そうになる。



森「気を落とすことはない。君達は佳く頑張ったよ。」



樋口の失敗を次々と上げ、それでも頑張ったから良いと皮肉を云う。



森「そうそう。作戦中、芥川君が潰した密輸屋＿＿『カルマ・トランジット』の残党が手勢を集めているそうだ。芥川君への復讐だろう。」



マフィアの本質は暴力を貨幣とした経済行為体。何を沈めても、誰を殺しても良い。だが、暴力を返されることは支出であり負債。森が嫌うものだ。



森「確かに芥川君は優秀だ。彼の暴力性は組織でも抜きん出ている。」



＿＿では、君は？



森「樋口君。君は自分がこの仕事に向いていると思ったことは有るかね？」

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