ポートマフィア参謀は幼女らしい。

失敗らしい。 ページ12

『…任務失敗？』
森「そう。太宰君の邪魔が入ってね。」
『ふぅん。＿まあいいや。ひとまず“目的は果たせた”。』



任務を遂行し、帰ってきたエトを待っていたのは「人虎」中島敦の捕獲失敗の報せだった。



悪食の黒獣「羅生門」の使い手、芥川なら簡単な任務の筈だが、無効化の邪魔が入れば話は別。



エトは少々驚いたようだが、怒ったりといった様子は一切見られない。



寧ろ、想定内とでも云いたげだった。



『＿太宰、ね。』



太宰治。
探偵社員にして、元ポートマフィア。
云わば「裏切り者」である。



『中々“お友達”になってくれないんだもん。にしても、探偵社員の太宰が助けたってコトは…。』
森「そう、中島敦は探偵社に入社した。」
『あ、やっぱり？』



これは一筋縄ではいかないな、と頭を掻く。



『次の手は？』
森「それを考えるのが君の仕事だろう？」



はぁ…と溜息を吐くと、エトは首領室を出た。
向かう先は樋口のもと。



『ひーぐちっ！』
樋「エ、エト嬢！その、すみませんでした！」
『へ？何が？』
樋「…任務を、失敗してしまって…。」



申し訳なさそうな樋口をきょとんと見、それからエトはころころと笑った。



『なぁんだ！そんなコトかあ。全然いいって！ロリコンじゃないし、怒ったりしないよ！』



この言葉に樋口はさっと顔を青くする。
つまり、“ロリコン”は怒ると云うことだ。



プルル、プルル。



薄暗い部屋に、電子音が鳴り響く。
樋口の電話だ。



『いいよ、出て。』
樋「は、はい。失礼します。」



発信先は公衆電話。



樋「何方ですか？」

黒蜥蜴らしい。→←“プラプラ”らしい。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す