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「…誰？」
隣には見知らぬ女がいつの間にか座っていて
タバコを咥えている
「アタシもおにーさんの事知らない」
「へえ、じゃ、何の用？」
「暇ならホテルいかない？」
この手の誘いはよくある
リスナーにしろ、逆ナンにしろ
特に断る理由もなければ、普通に抱く
まあでもこの女、多分俺を知ってる
知ってるか知ってないかなんて、目を見ればわかる
元から人の目には敏感な方だったけど
YouTuberになってから余計わかりやすくなった
「いーよ」
まあ、知ってようが知っていまいがどーでもいい
丁度、らしくない俺に嫌気がさしてきたところだ
女でも抱いて切り替えよう
__________________...
「おにーさん名前なんていうの？」
「秘密」
「なにそれー」
隣では、先程会った女が
腕を絡めてくる
ホテル街は今日も賑わっている
普通のカップルもいれば、客と同伴中のキャバ嬢、キャッチなど
一般人に加え夜ならではの人間たちも多い
そんなことを考えながら
ぼーっと歩いていると
遠くから、見覚えのある人物が歩いてくるのがわかった
「律…？」
あいつここでなにしてんだ？
律は、立ち止まり携帯を取り出すと
近くの壁に寄りかかった
待ち合わせ？
しかもこんな時間に一人で？
そもそもあいつ、男いたの？
つーか今日あやなんといるはずじゃ
数々の疑問が飛び交う
すると、隣で腕を組んでいる女が
立ち止まった
「ここでいいんじゃない？」
適当なホテルを指差すと
早く行こうよ〜なんて腕を引っ張る
あー、なんか一気にめんどくさくなってきた
「今日はやっぱ気分乗らねーわ」
絡められていた女の腕を振りほどく
切り替えようと思った矢先に現れた律
どんどん頭の中を駆け巡る疑問
なんだよ、最近元気ねーと思ってたら
アンチじゃなくて、男かよ
なんか、だんだん腹立ってきた
「は…ホイホイついてきたくせに今更なに！？
カワグチジンってどんなもんかと思ったら
ただのつまらない男ね」
呆れたように鼻で笑うと
女はそう吐き捨て去っていった
やっぱ知ってて話しかけてきたんじゃねえか
あーーーどいつもこいつもムカつく
振りほどいた手をポケットに突っ込むと
律の方へと歩き出した
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作者名：あくつ | 作成日時：2019年1月18日 14時
