【納棺師,占い師】 リップグロス *薬 ページ3
リクエストありがとうございます。
・
荘園の朝。
朝食をとるために食堂へ足を運んでいると、見慣れた使い鳥が私の肩に止まった。
『あ……おはよう、ぽっぽちゃんとイライ』
後ろを振り向けば、
特徴的な目隠しをつけている占い師が視界に映る。
彼は爽やかな表情で、こちらに向かって控えめに微笑んだ。
「おはようA。はい、これ」
『へ?』
挨拶と共に渡されたのは、小さな紙袋。
突然のことに戸惑い、
腕を中途半端にあげていると、優しく手をとられ袋を乗せられる。
「プレゼント。いつも君が使っている物に新色が出たらしくてね、似合いそうだと思ったから買ってみたんだ」
新色?
中身が気になりそっと隙間から覗いてみると、可愛らしいメルヘンピンクカラーのリップグロスが入っていた。
そういえば、今朝ちょうどグロスをきらした事に気づいたんだよね。
このタイミングとは、さすが占い師。
『嬉しい……!本当に貰っていいの?』
もちろん、と嬉しそうに笑う彼に、
私もつられて口元が緩む。
「絶対君に似合うと思うよ、その色」
『そうかな?私も早く試したいなぁ。でも今鏡ないから、はみでちゃうね』
ふふ、と仄めかして言うと、彼は少し考えたような仕草をしてから、
少し照れ臭そうに口を開いた。
「……ええと、良ければ塗らせてくれるかい?」
『っえ、あ……い、いいの?』
突然のことに、なんとなく動揺してしまい顔が火照る。
私の手からグロスを受け取り、「じっとしててね」と言う彼は、いつもの目隠しをクイっと上にずらした。
彼に手を添えられている頬が、じわりと熱く感じる。
よくわからないが、これはとても恥ずかしい状況なのでは。
滅多には見ないイライの瞳が、真剣そうに私の口元を見つめる。
羞恥心にいたたまれなくなり、目をキュッと瞑っていると、
くすっと彼は笑い声をもらした。
「なんだかキスを待たれているみたいだね。可愛くてつい貰ってしまいそうになるよ」
『っ……!?まっ、またそんな冗談!言っておくけど、私じゃなかったら勘違いされるからね!?』
もはや恥ずかしさは頂天。
ぶわっと顔に熱が集中するのを感じ、隠すように私は食堂へそそくさと駆けた。
「……冗談なんかじゃないさ」
・
526人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁郗 - リクエストでリッパー の薬お願いします……。ナワーブ君の薬&毒最高でした! (2021年5月3日 21時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
こっこ - あ“ーもう!毒最高!リクします!ノートンくん攻めジョセフさん受けの毒みたいです! (2019年10月3日 17時) (レス) id: 4adf5b306e (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - すげえ好きです!惚れました!!更新頑張って下さい(`・ω・´) (2019年8月31日 21時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - イソップくん最高でした(鼻血)リクエストいいですか?イソップくんとジョセフさんの毒をお願いします! (2019年8月21日 2時) (レス) id: 471dbd3b9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - リクエストお答えありがとうございます。ノートン君の薬が最高でした。 (2019年8月20日 21時) (レス) id: af4ea41ca3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ