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そしてある日ーー。
 俺の家にAが入ってきた瞬間、咄嗟に腕を掴んでしまった。
「ど、どうしたの!?」
「……ねぇ、今まで香水つけてなかったよね」
 思わず掴んだ手の力強くなって、低い声が出てしまった。
 そんな俺を、Aは少し怯えた目で見つめてくる。
「……A、何か隠してない?」
 怯えたAに思わず我に返って、なるべく優しく声をかける。
 Aは何か言いたげな表情をして俯く。
 そんなAの耳元を見て、俺は思わず目を見開いた。
「は? ピアス開けたの?」
 そう、Aの耳元には動く度に揺れて輝くピアスが付いていたのだ。
 Aがもし、ピアスを開けたいと言ったなら俺が開けてあげたいと密かに思っていたのに。
「ち、違うのこれは……!」
「ねぇ、誰に開けてもらったの」
 Aの言葉を遮って問いただす俺に、Aの目には少しずつ涙が溜まっていく。
「あ……ごめん……」
 Aの涙がポロリと零れた時、俺は一気に冷静さを取り戻した。
 Aの頬を濡らす涙を拭おうと、おずおずと手を差し伸べ、Aが拒否しなかったことに一先ず安堵する。
「ごめん……俺、マジで最低だわ」
 余裕がなくて情けない顔をしているであろう俺は、それを隠すようにAの肩に顔を埋める。
 原因は自分でも分かっている。
 これだから嫉妬なんて嫌なんだ。

 とりあえず何か言わなければと、頭を整理していると、俺の頭に触れる“何か”。
 それがAの手であることはすぐに理解できて、しばらくされるがままに撫でられていた。
「……ねぇ辰哉くん、どうしたの……?」
 怖がらせて泣かせたのに、柔らかい声色で問いかけてくるA。
「もうさ……俺ほんとに好きなんだよ……」
 我ながら、弱々しい声にびっくりする。
 Aの前ではカッコよくありたいのに。
「……分かってるよ。ちゃんと伝わってるよ」
 Aはこてんと、俺の頭に顔を傾ける。
 そして俺の背中に手を回して、ゆっくり撫でてくれる。
「……最近いつもと格好違うなとは思ってた。急に知らない香水つけるし、ピアスとかしてるからビックリした……」
 最近の思いを吐き出すと、まるで自分が拗ねているようで恥ずかしくなる。
「辰哉くん……、ちゃんと全部話すね」

 ソファーに二人腰かけ、Aの言葉を待つ。
 Aも何だかソワソワしているように見える。
「私オシャレに無頓着というか、何ならあまりオシャレじゃないと思うの」
 

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設定タグ:SnowMan , 深澤辰哉 , 夢小説   
作品ジャンル:タレント
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小袖(プロフ) - 爆きゅんしました( ; ; )♡ (2023年1月18日 18時) (レス) @page37 id: 086580d8cf (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - センさん» 応援ありがとうございます!マイペースになりますが更新楽しみにしていただけたらと思います! (2022年12月17日 11時) (レス) id: 8a1fff5847 (このIDを非表示/違反報告)
セン(プロフ) - このお話めちゃくちゃ大好きです!これからもひっそりと応援しています。更新お疲れ様です。 (2022年12月16日 23時) (レス) @page37 id: 4a7d47f0c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:六花 | 作成日時:2022年11月23日 19時

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