_ ページ46
「……A、俺と結婚してくれてありがとう」
マイクを通じて、康二くんの声が会場内に響く。
その声は緊張していて、少し震えていた。
私はそっと震える康二くんの手を握る。
康二くんは小さく息を吐くと、また口を開く。
「……初めて病院で出会って俺ホンマに一目惚れやった。
人見知りの俺はめっちゃ勇気を出して声をかけたんやけど、俺の事全く知りもせんで逆に拍子抜けしたんよ。
でもそんな飾り気のないAやから良かったんやと思う。
Aは白衣の天使やない言うけど、俺にとってはいつでも天使やったよ。
いつも可愛いワガママしか言わんで、いつも俺の仕事を優先してくれて感謝しかない。
今日も本当はたくさん友達に来て欲しかったはずやのに、ジャニーズの俺を気遣ってくれてありがとう。
どうしても格好つかん俺をずっと好きでおってくれてありがとう。
でもな、俺はその何倍も何百倍も好きやから。
この先何があっても俺の事を信じて欲しい。
これからもずっと一緒におってください」
カンペも用意せずに、一生懸命に自分の言葉で話してくれる康二くんの姿に涙が溢れた。
私が必死に涙を拭っていると、康二くんは困ったように笑いながら手を取る。
「化粧……落ちてまうよ」
マイクを通してない康二くんの囁く声が耳に直接届いたと思えば、私の唇に康二くんの唇が触れた。
その瞬間Secret Touchが流れ、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
私は本当に素敵な人に出会えた。
こんなに一生懸命に好きだと伝えてくれる。
こんなに私を愛してくれる。
決して白衣の天使じゃないけれど、康二くんがそう言ってくれるのなら、それも悪くないかななんて。
end
187人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:六花 | 作成日時:2022年9月21日 22時