白衣の天使じゃないけれど (ページ39)

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１１．好きが溢れるページ39

「うわー！すごーい！」
　旅館に到着して部屋に案内されると、Aはバルコニーに一直線。
　オーシャンビューが圧巻で、Aもそうやけど俺も感動した。
　夕日が落ちてきて、オレンジの光が海に反射して眩しい。
「ふふ、康二くんの色だねー」
　Aがスマホで写真を撮りながら微笑む。
　そういうふとした発言に何度心臓を鷲掴みされたか分からん。
　俺も首から掛けてたカメラで、夕日を写すAを写真に残す。

「あ、海の方歩けるみたいやで」
バルコニーから下を覗くと、砂浜に出れるように歩道が整備されとるのを見つけた。
「ホントだ！夜行ってみてもいい？」
「もちろんええよ」
　夜なら暗くて俺のこともバレんやろうし。
　Aの笑顔が零れまくりで、こっちの胸が暖かくなる。

「じゃあ、先に風呂行く？」
「うん！」
　本館に大浴場があって、家族風呂いわゆる貸切風呂が何個かあるみたい。
「じゃあ貸切の風呂空いてるかフロントに聞いてみよか」
「え、そっち行くの」
　俺は当たり前に一緒に入るつもりやったんやけど、Aはどうやら違ったみたいで目を丸くする。
「えー！せっかく来たんやから一緒に入りたいわー」
　俺が駄々をこねると、Aが慌てて違うと言い始める。
「何が違うんよ」
　俺がわざと拗ねた表情をしたら、Aはそっと俺の手を握る。
「ご飯とか終わって後でゆっくり一緒に入りたいかなーって」
　恥ずかしいのか、A は俺の手をにぎにぎと握る。
「じゃあ後で絶対一緒に入るからな！」
　何でこんな必死になってるか自分でも分からんけど、Aは笑顔で頷く。