白衣の天使じゃないけれど (ページ34)

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「じゃあ向井さん、処置室で点滴しましょうね。明日からは飲み薬出しておきますので飲んでくださいね」
　愛想の良い若い先生の診察が終わり、おばちゃん看護師さんが処置室に案内してくれる。
　大人しくついて行き、数台あるうちの一つのベッドに横になるように説明される。
　カーテンを引かれ、俺はニット帽やら眼鏡を外して横になる。
「はぁ……」
「向井さん、失礼します」
　深いため息をついたところで若い女の子の声が聞こえた。
　閉められたカーテンからそっと顔を覗かせたのが、Aやった。
　目が合った途端、俺の心臓が跳ね上がった。
「きついですよね、今から点滴しますね」
　横になった俺に視線を合わせるように、腰を低くして優しく微笑むAに完全に一目惚れをした。
　冗談抜きで本当に白衣の天使がおると思った。
　キツくて脱力した俺の腕を取って血管を探るように優しく撫でられると、どうにも俺は我慢ができんかった。
「あの……、お姉さんお名前は？」
「え？」
　最初はキョトンとしとったけど、にこやかに名前を教えてくれた。

「……はい終わりです。じゃあまた点滴が終わる頃に来ますね。腕が痛くなったり、体調が悪くなったらこのナースコールで呼んでくださいね」
「え、もう刺し終わったんやね。Aちゃん上手すぎやわ」
　そう言うと、Aちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
　そして、そっとカーテンの向こうに行ってしまう。
(このまま点滴終わってサヨナラでええんか俺)
　自問自答して、出た答えは一つやった。

　問題なく点滴が終わり、Aちゃんが針を抜きにまたやって来る。
「あのAちゃん、俺の事知っとる？」
　そう、俺の出した答えはSnowManの俺に頼る事やった。
　しょっぴーの言い方を借りるなら、かなりダサダサや。