白衣の天使じゃないけれど (ページ33)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:41,032 hit

９．初心に返るページ33

「はぁ……」
「康二どうしたー？」
　俺がため息をつくと、さっくんは心配そうに声をかけてくる。
　今は収録の合間の休憩で、皆好き勝手に過ごしていて、俺のため息を聞いたのはさっくんだけやった。
「んー、なんもないよ」
　そう笑って返すと、嘘つけと言われくっついてくる。
「あんな……Aが好きすぎてツラいねん」
「はい、お疲れ様でしたー」
　一気に冷めた表情をしたさっくんは、さっさと俺から離れていく。
「おいおいおい！」
「だってそんな悩みとは思わないじゃん。このリア充め」
　そうなんよな、傍から見たらリア充なんよな。
　こんなツラいのもリアルが充実してる証拠なんやろか。
　ちょっと前から同棲し始めて、もっともっとと欲張りになっていく。
　人間のいやらしいとこやな。
　最初はこんなんやなかったのに、とAと出会った頃をふと思い出した。

　それは俺が体調を一気に悪くした時の話。

「あーだる……きつー」
　メンバーやマネージャーに病院に行くことを提案され、仕方なく病院へ。
　受付が終わって、椅子に座って自分の順番が呼ばれるのを待つ。
　患者さんも沢山きているようで、看護師さんもバタバタ慌ただしい。
　スマホを弄りながらしばらく待つと、自分の受付番号が呼ばれ、診察を受ける。