白衣の天使じゃないけれど (ページ22)

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「しっかし、康二が白衣の天使と付き合ってるなんてねぇ……」
「白衣の天使ではないんです！」
　翔太くんのボヤきに強めに否定すると、翔太は目を丸くした後に笑い始めた。
「すげぇ否定するじゃん」
「だって見てください、このボロボロさ」
　いややっぱり見なくていいです。
　看護師はよく白衣の天使なんて言われるけれど、決してそんなわけではない。
　気の強い人間も多いし、忙しければピリピリとした空気の中仕事もするし、夜勤だって長いし、時としてナースコールは鳴りっぱなしだし……。
　挙げ始めたらキリがないけれど、昔康二くんにも白衣の天使と言われたことがあったな、なんて少し出会った頃を思い出した。

「ねぇ、康二今日何時終わりとか言ってた？」
「えー、特に聞いてないですけど……」
「そっか。今日久しぶりに泊まりに行こうかなー」
「ええっ！？」
　康二くんと仲良しは大いに結構だけど、今は康二くんと同棲している。
　言うタイミングというか、特にメンバーに言うことも無く今に至るのだけど、こんな形でバレそうになるとは。
「あ、もしかしてAちゃん今日康二と予定ある？」
「あー……、そういう訳じゃないんですが……」
「そ。じゃあ連絡だけ入れとこ」
　翔太くんはポケットからスマホを取り出すと、康二くんにメッセージを送り始めた。
(うーん、もうこの件は康二くんにお任せしちゃおう)
「あ、電話」
　するとすぐに翔太くんのスマホが鳴り始め、電話に出る。
「あーもしもし康二？今日行っていい？いや、今Aちゃんといるんだけどさー……」
『いやいや、何でやねん！』
　急にスマホから漏れてくる康二くんのツッコミ。
　声でか！
「うるせぇなー」
　康二くんの反応が思っていたものと同じだったのか、翔太くんはカラカラと笑う。
「いやいや、たまたま会っただけだから。あーそう？じゃあ今日夕方行くわ」
　あ……、OKなのね。
　翔太くんは康二くんとの通話を切り、じゃあ俺はこの辺でと言い残して去って行く。
　また後で……なんて言える訳もなく、私は翔太くんの背中を見送った。