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私はインタビューを受けた際のことを丁寧に説明した。
「……ということで、匂わせって言われて康二くんが色々言われるのが嫌だったの」
全て話し追えると、康二くんは安堵したようにため息をついた。
「あぁ、そういう事やったんやね」
「ごめんなさい。ちゃんと私は康二くんが好きだから、ね?」
必死に伝えると、康二くんは私の頭をそっと撫でる。
「分かってんねん。ちょーっとヤキモチ妬いただけや」
康二くんはそのまま私に抱きつき、私の体はすっぽりと康二くんに収まる。
私もそっと康二くんの背中に手を伸ばす。
ごめんね、康二くん。
ヤキモチ妬かれたの少し嬉しいと思っちゃった。
「でもAはSNSとか何もしてないから、そもそも俺の彼女とかバレることないんちゃう?」
「……あ」
そう、私はSNSに疎いというか面倒で、閲覧するだけのアカウントだけ所持しているのだ。
「もし仮によ、写真撮られたとしても一般人やから顔は隠すやろしな」
確かにそうかもしれないが、そんな未来が来なければいいと密かに願った。
彼の仕事の邪魔だけはしたくないのだ。
「ま、Aが俺のこと好き言うても、俺の方が好きやけどね」
康二くんはすっかりご満悦で、私の唇にキスを落とす。
「上がろうか」
「うん! あ、康二くんが食べたいって言ってたアイス買ってるよ」
喧嘩にもならないけど、とりあえず話は一件落着。
しかしその後、目をギラつかせた康二くんにベッドに引きづりこまれることになるなんて、アイスを頬張る私は知る由もなかったのだった。
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作者名:六花 | 作成日時:2022年9月21日 22時