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「さ、夕飯の買い物して帰ろうかなー」
カフェを出て、駅に向かう。
今日の夕飯は何にしよう。
康二くんの帰りが遅くなってもいいように、煮込み料理にして温めるだけにしてもいいな。
なんてことを考えていると、あっという間に駅前に到着する。
「すみませんお姉さん」
「え？」
背後から男性に声をかけられ、私は思わず振り返る。
「すみません今撮影中なんですが、御協力お願いしていいでしょうか」
そう言う男性の手元にある大きめなフリップには、SnowMan全員の顔写真が載っており、そこには“それSnowManにやらせて下さい”と書いている。
(こ、これはダメなやつだ！)
番組名を見て察した私は咄嗟に断ろうとしたが、断る言葉が思い浮かばずあわあわと慌ててしまう。
(こ、康二くんどうしよう！)
恐らく、カメラ越しに今康二くんは私を見ているに違いない。
思わず顔を俯かせると、スタッフと思われる男性は了承して頷いたと勘違いしたようで、感謝の言葉を述べられる。
「それではお名前と年齢をお聞きしていいですか」
「は、はひ……」
諦めたように脱力した私は、名前と年齢を伝える。
「SnowManというグループをご存知ですか？」
「あぁ、はい、まぁ」
付き合ってます、なんてとても言えるわけもなく、苦笑いで質問に答える。
「それではAさんに質問です。ずばりこの中で“好きな人”は誰ですか」
「ええっ！！」
思わぬ質問に、私は飛び上がってしまう。
(そ、それは康二くん一択だけど……でも……)
もし今後、康二くんと付き合っていることが世間にバレてしまったら、この件が匂わせといわれる行為に当たるのではないか。
もしそうなったら康二くんの評価が下がってしまう。
「ええ……えと……えと……」
私は必死に９人の顔写真に目を配る。
(康二くんは大好き。さっくんは推し。でも翔太くんも優しいし、ふっかさんも面白くて……)
「えと……あの……この方で」
私が咄嗟に指さしたのは、ピンク頭の彼だった。
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作者名：六花 | 作成日時：2022年9月21日 22時
