７．初対面その３ ページ25
「ねぇ康二」
ガヤガヤと騒がしい楽屋でスマホを弄っていると、背後からさっくんが俺を呼んだ。
「ん？ どしたん？」
スマホを弄る手を止めて振り返ると、さっくんが人懐っこい笑みを浮かべた。
「今日ブログあげようかと思うんだけど、良い写真ないー？」
あぁなるほど。
つまりは、俺の撮った写真を使わせて欲しいいうことやな。
今は撮影の合間の休憩で楽屋におるんやけど、皆が楽屋に集まってから撮影が始まるまでの時間で、俺は皆が好き勝手して過ごす様子をカメラで撮っていた。
さっくんはその中の写真をご所望の様子。
「写真見てもいーい？」
さっくんの明るい笑みを見せられたら断る理由も無い。
「うん、ええよ」
俺がカメラを差し出すとさっくんは丁寧に受け取って、笑顔のまま１つずつデータを遡っていく。
「あー、これめっちゃいいわー！ あ、これも！ さっすがだね康二」
あまりにも直球で褒められるとさすがの俺でも照れてしまう。
「ん？ 康二これって……」
すると急ににさっくんから笑顔が消え、俺は反射的にさっくんの手元に視線を移す。
「あーー！！」
ヤバいと思ったら人間は不思議と大声が出るもんなんやね。
Aとしょっぴーがピースで写った写真が表示されとって、俺は一瞬のうちにパニックになった。
俺が慌ててカメラを奪い取ろうとすると、さっくんがついに楽屋に大きな爆弾を投下した。
「康二のカメラに女の子写ってるー！ しかも翔太も一緒に！」
「はぁ！？」
「何！？」
しょっぴーがすぐに反応したんやけど、コンマ数秒の差で楽屋におった他のメンバーが振り返る。
(……やってしもた)
俺が頭を抱えたところに、メンバーがゾロゾロと集合する。
なんで広い楽屋に一箇所に集まるんよ。
「しょっぴーの彼女？」
ピュアピュアな目で聞いてきたのはラウール。
そんなラウールの背後からふっかさんが写真のデータを覗き見て、ついに笑い始めた。
「確かに、これだけ見たらそう見えるよなー」
「え？ どういうこと？」
ふっかさんの言葉にさっくんが首を傾げる。
「康二もう言っちゃえば」
まぁ隠すことでもないんやけど、こんな状況で話すことになるとは。
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作者名：六花 | 作成日時：2022年9月21日 22時
