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「知念……」
ビクリと体を揺らして視線をあげると
目の前に息を切らしたコウタが立っていた。
「なんで…」
フッと安心したような顔をしたコウタはそのまま何も言わずにガシャンと音を立てながら隣のブランコに腰を降ろして僕の方に腕を伸ばし、手を握ってきた。
「ッ！ちょっ…」
「また逃げられたら俺もうお前に追いつける自信ないからさ〜保険」
「…逃げてない、帰っただけ」
「ここがお前の家なのかよ(笑)」
「……ちょっと寄り道してただけだよ」
「ふーん」
手は握られたままで、僕とは違って冷たい手に体温を分け与えるような不思議な気分で、それが嫌じゃない自分が理解できなくて、また顔を逸らして下を向く。
キィ…キィ…と一定のリズムを刻む音が暗闇の公園で響いていた。
こんなにコウタといて気まずいと感じたのは初めてだ。
はやく、切り抜けたい。
家に帰りたい。
楽になりたい。
無意識にコウタに握れた手は震えていた。
「………俺にしときなよ」
「…は？」
沈黙を破ったコウタの言葉が理解できなくて、素っ頓狂な声を出して思わず顔をあげた。
「だから、お前にならどんだけ依存されてもいいし、俺にもっと頼って。侑李が1人で飲み込んでるのを見る方が辛い」
「でも、気持ち悪いって…」
「そんなこと俺は言ってないだろ！嬉しくて反応が遅れただけ！いつも言ってるけど侑李なら俺はなんでもウェルカムなの！わかった？」
ぎゅっと強く握っていた手に力を込められて、街頭に照らされたコウタの顔は海辺の星空の下で見た時のようにキラキラして見えて
今は遠くて暗い不明確な海の先じゃなくて
目の前にいる僕を
僕だけをこんなに必死な顔で見てくれてる…
胸がざわざわして落ち着かなくて
気づいたら目の前の男に唇を寄せていた。
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ハニ(プロフ) - はじめまして。Jamさんのせつない文章が大好きです。楽しみにしています。 (2018年1月20日 8時) (
レス) id: 6cb3c90744 (このIDを非表示/違反報告)
Jam(プロフ) - Redさん» ありがとうございます！完結まで頑張ります！ (2017年9月17日 0時) (レス) id: 01e5310ad7 (このIDを非表示/違反報告)
Red(プロフ) - やぶちねがどうなっていくのかとても気になっていたので更新再開といても嬉しいです！ (2017年9月11日 14時) (レス) id: 9f828dfe9c (このIDを非表示/違反報告)
とら - 再開待ち望んでいたので嬉しすぎます！ありがとうございます！作者さんの書かれる二人の関係性が凄く好きです。更新頑張ってください！ (2017年3月4日 8時) (レス) id: 0433fd2f1d (このIDを非表示/違反報告)
ぱれ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです(´；ω；｀)更新再開してくださるの、待ってます。 (2016年12月27日 22時) (レス) id: fc214221f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2016年3月12日 4時
