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「うわ〜〜見事にカップルばっかりだ(笑)」


と言いながらも運転席の男は楽しそうで、横付けした車から降りて、僕がいる助手席へと回ってドアを開けてくれた。


(わーお、スマート)


「結構 風強いし砂利道だから気をつけて」

「…ありがと」


車から降りて辺りを見回せば、どこもかしこも男女の2人組ばかり。

少し歩いてちょうどいい防波堤を見つければ自然と2人とも足を止めた。

キラキラと輝く水面。
月明かりと街のネオンを取り込んだ夜の渦が
ちっぽけな僕の目の前いっぱいに広がっていた。

(う、わ…)

夜景どころか海にもなかなか来ないから、
あまりの美しさに思わず息を飲んだ。

さっきまで下世話な表情を浮かべていた宏太はこの広大な景色に何を感じたのだろうかと見上げれば
真っ直ぐ射抜くような目線を向けていた。



宏太は彼女ともこの海に来たことあるのかなぁ…



って、なんだ。急に

何を気にしてるんだろう僕。変なの…



「……男2人って僕たちだけだし、冷やかしだと思われるかもね」

不自然な気持ちを悟られないように口を開いて、防波堤の上に寄りかかりポツリと呟く。


すると、さっきまでの表情が嘘みたいにヘラリと笑って、僕を見下ろして

「大丈夫大丈夫。はたから見たらお前はちょっとボーイッシュな女の子だから」

「えー。ってことは僕はこの綺麗な海辺で宏太の彼女役になるの?やだな〜」

「あ、そういうこと言うんだ?〇〇の最新話のオチは…「わー!ごめんなさい!ごめんなさい!言わないで!」


ぷ、っと2人で吹き出して声を押し殺して笑った。


「こんなカップルの聖地でする話じゃない(笑)」

「ばか!侑李声でけーよ!」


「あははは」



周りの幸せなカップルの皆さんごめんなさい。
本当に冷やかしに来たわけじゃないんです。


だから少しだけ、このロマンチックな夜の海で
賑やかに笑い合う僕たちを許してほしい。



じゃないとこの美しさに当てられて



涙が溢れそうだから。





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ハニ(プロフ) - はじめまして。Jamさんのせつない文章が大好きです。楽しみにしています。 (2018年1月20日 8時) (レス) id: 6cb3c90744 (このIDを非表示/違反報告)
Jam(プロフ) - Redさん» ありがとうございます!完結まで頑張ります! (2017年9月17日 0時) (レス) id: 01e5310ad7 (このIDを非表示/違反報告)
Red(プロフ) - やぶちねがどうなっていくのかとても気になっていたので更新再開といても嬉しいです! (2017年9月11日 14時) (レス) id: 9f828dfe9c (このIDを非表示/違反報告)
とら - 再開待ち望んでいたので嬉しすぎます!ありがとうございます!作者さんの書かれる二人の関係性が凄く好きです。更新頑張ってください! (2017年3月4日 8時) (レス) id: 0433fd2f1d (このIDを非表示/違反報告)
ぱれ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです(´;ω;`)更新再開してくださるの、待ってます。 (2016年12月27日 22時) (レス) id: fc214221f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2016年3月12日 4時

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