SeaSide Princess 【stxxx】

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完敗だ……



職を探すだけでもこんなに大変だなんて
思いもしなかった。

正社員はやっぱり無理なのかな…
私もるぅとさんみたいにアルバイトしようかな……




るぅとさんが働いてるカフェを出ては
家の近くの海に足を浸ける。



相変わらず綺麗で透明感があってひんやりとした海。

相変わらずなのは気温もそう。
ここの町は比較的に気温が高いみたい。

紫外線が私の肌を蝕んでるのが痛いほどわかる。




紺碧の海に浮かぶヨットやサーフィンをしてる人たち。
夏を謳歌してるであろう夏休み中の学生たち。


そして謎に浮かんでいる赤色の物体。


今日もいい夏日和だなぁ。




…


……



…………え？




『まって、あの人大丈夫！？』


プカプカと仰向けに浮かぶ赤色の物体を見て
何がいい夏日和だなぁ、だよ！私！


私は自分の思考がやばいんじゃないかと思いながら
海に飛び込んでは赤色の物体に近づく。


これでも高校のときは水泳部だったんだ、
泳ぎは上手いよ…ってそんな話してる場合じゃなくて！






『……ぷはっ、あの！大丈夫ですか！？』

「……んぁ…？誰？」

『こんなとこで何してるんですか！』

「え……昼寝だけど。」





…………は？

海に仰向けになって昼寝してるとか
この人なに？やばい人？怖い……





『…とりあえず陸に上がりませんか。』

「えー…てか君誰？」

『雛瀬です。とりあえず陸に…』

「雛瀬ちゃんかぁー、俺は"赤松 莉犬"〜！」





うん、この人話聞かない人って分かった。
無理やり連れていきます、ごめんなさい。







陸に上がれば両手を上げて背伸びをする目の前の彼。





「お昼寝気持ちよかった〜！」

『赤松さん、せめて陸で昼寝してください。
死んでるかと思って心臓止まりそうでした。』

「初対面の俺なんかを心配してくれるの？」

『え？初対面でも初対面じゃなくても心配しますよ。』






そういうと赤松さんは大きな目を見開いては
すぐにふにゃりと笑った。









「えへへ、ありがとう、雛瀬ちゃん。」





可愛い笑顔の彼に少しドキドキしたのは
多分きっと、夏のせいなんだと思う。





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