＊覚悟と海とこれからと ページ44
.
パパとなーくんが別室に行ってすぐに
私はすぐにその部屋のドアに耳を当てた。
今日分の仕事はもう８割型終わってるんだよね。
少しサボっても大丈夫…てか、
今仕事よりこの話し合いの方が重要なんだけど！？
「おい、雛瀬サボんなー。」
『さとみさん！しっ！』
「さとちゃん怒られてるやんw」
「うっせー。」
耳を当ててると中の会話が少しだけ聞こえてきた。
パパは私のことを親不孝者だと言った。
まぁ、そうよね。そう思われても仕方ない。
「僭越ながら、あなたよりも僕の方が
娘さんを理解しているみたいです。」
なーくんの発言だ。
動揺するパパの声も小さいけど聞こえる。
私は更に真剣に扉の向こうの声を聞くために
耳を研ぎ澄ませた。
【Purple Side】
ほんとなんもわかっちゃいない。
だから俺は聞いてやった。
「娘さんの好きな物ってご存知ですか？」
「…は？そんなの…………」
「じゃあ娘さんの好きな場所ってご存知ですか？」
「…」
「じゃあ娘さんの涙、見たことありますか？」
「……」
「じゃあ娘さんの、今の気持ち知ってますか…？」
「………」
「何も知らないのに父親面するな！！！」
つい怒鳴ってしまった。
しかも相手は王手の社長。やってしまった。
彼女のためになるとどうも周りが見えなくなる。
Aちゃんが大切だから……。
「Aちゃんはこの町の海沿いのカフェのオムライスが
好きなんです。そしてこの町の海が好きなんです。
僕は彼女の涙を何回も見てきた。
いつもつらそうで苦しそうな涙ばかり。
Aちゃんは死にたいって言ってました。
全部から逃げたいって、どうしたらいいかわからないって。
あなたの会社から、あなたから逃げるためにここに、
この町に来たんです。
Aちゃんの好きな物も好きな場所も知らない、
Aちゃんがどんな思いでここに来たのかも知らない、
そんなあなたに父親と名乗ってほしくないです。
彼女の居場所はこの町です。この町は彼女の味方です。
どうか……
どうか彼女を、
自由にしてあげてはくれませんでしょうか。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無気力に自信が有る人 - さとみくんかころんくんオチだと思っていたのに、なーくんだったから驚きました！この作品大好きです！ (2021年12月20日 1時) (
レス) @page50 id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
桜あやや(プロフ) - 株式会社ブルドーザーwww昨日プール言った筈なのに海行きたくなる名作でした(uωu*)めあちゃん処女作で文才ありすぎでしょ〜…めちゃめちゃ感動した…！ (2021年7月27日 9時) (レス) id: 90426be14c (このIDを非表示/違反報告)
めあり(プロフ) - 柏木。＠低浮上さん» 少し恥ずかしいグダグダ作品だよw(；▽；) (2021年2月4日 23時) (レス) id: 9f1dd59455 (このIDを非表示/違反報告)
柏木。＠低浮上(プロフ) - わらが女神、めありの原点。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: d5d685891e (このIDを非表示/違反報告)
めあり(プロフ) - すとぷり好きさん» コメントありがとうございます！わぁぁそうなんですね(；▽；)涙までありがとうございます(;o;) (2020年8月5日 8時) (レス) id: 9f1dd59455 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めあり
| 作成日時：2020年6月8日 10時
