55・ ページ8
すると、私の手からトマトジュースを受け取った先輩は、ストローから少しだけ啜った。何故か耳は赤く染まっている。
「高菜……！！」
『えーと、それって美味しいって意味かな』
「しゃけしゃけ！」
『よかったぁ、棘先輩がわかってくれる人で』
『このトマトジュースを好きって言ってくれた人、棘先輩が初めてなんですよね』
なんて言うと、先輩はどこか照れを隠そうとしているのか、いつも以上に口元を閉めて「……明太子」と呟いているのが聞こえた。
それから暫くたった頃、私達を乗せた車は目的地に到着した。
場所は名もしれぬ山の奥地にあるトンネル。今はもうほとんど使用されていないからか、呪霊が潜んでいるに違いないと思わせる雰囲気がある。
補助監督さんに挨拶をして車を降りると、棘先輩は早速ポケットから喉薬を取り出した。
『……え、先輩それ、飲むんですか？』
「
『いやいや、流石に入りませんよ薬は』
そんな軽い会話をしながら歩くこと数分。視界のほとんどがコンクリートに囲まれてきたところで、私たちは足を止めた。
数メートル先に、呪霊の気配を察知。
『いますね……呪い』
「しゃけ」
少し足早に気配のする方へ走っていくと、オレンジ色の内灯の下、虫のように群れていた小さな呪霊が視界に映った。
私は念の為小型ナイフを取りだし、戦闘態勢に入る。
すると、そんな私を制するように棘先輩は私の前に立った。
「サーモン」
『えっ、さ、サーモン？？』
取り敢えず、下がっていろと言うことだろうか。あまり意味は理解できなかったが、棘先輩の背中がそう語っているような気がしたので、私は素直に先輩の後ろに隠れた。
喉の調子を整えて、集中力を研ぎ澄ます。
ｼﾞｼﾞｼﾞ、と口元のチャックが空いたかと思うと、私はその時初めて、棘先輩の言葉を聞いた。
「""爆ぜろ""」
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞｯ
細かい虫の呪霊たちが、いとも簡単に崩れ去る。最後は塵のようになってしまったその姿に、私は改めて呪言の威力を知った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月7日 13時) (
レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - 茶茶さん» 茶茶さんありがとうございます; ; コメントほんとに元気貰えるのですごく嬉しいです……！！頑張ります！！ (2021年6月12日 9時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
茶茶 - めっちゃおもしろいですっ！!！!！!！これからも応援してます!！!！!更新頑張ってください！!(>_<pﾌﾚﾌﾚｰ) (2021年6月12日 8時) (レス) id: 0a249ceab0 (このIDを非表示/違反報告)
ぱりぱり。(プロフ) - たたさん» コメントってなんでこんなにも元気貰えるんだろ; ; たたさんに言われて「私の更新待ってくれてる人いるんだって」思えたっていうか、使命感湧きました……！！更新頑張ります！ (2021年6月11日 17時) (レス) id: 6abb423506 (このIDを非表示/違反報告)
たた(プロフ) - どぅおおおおおおお！！！待ってます！こちらにはとてつもなく続きが気になっておる者がおります！通知来るのを待機しております！ありがとうございます！ (2021年6月11日 13時) (レス) id: ca42b2cca2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱりぱり。 | 作成日時：2021年3月21日 21時
