転生したら鬼になったからとりあえず推しに斬られに行こうと思う。(１)【鬼滅の刃】

8--炭治郎。君ってやつは ページ8

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「＿＿＿俺は竈門炭治郎(かまど たんじろう)。君は？」

「……………Aです」

「そうか、Aって言うのか。よろしくな」


ふぁッ。炭治郎が……た、炭治郎が私の名前呼んでる無理ぃ。

両手で顔を覆う。推しが可愛い。イケメン。


「あ、あのね！俺は我妻善逸(あがつま ぜんいつ)だよ、Aちゃん!!結婚しよ!!」


ひえ、なんか善逸もサラリと名前呼んでるし求婚してくるし無理なにこれ幸せ。

2人のボイスで自分の名前を脳内再生していた頃が懐かしくなってくる。


「とりあえずここから出よう。いつまでもこんな場所にいるのは危険だ」


私鬼だから大丈夫だと思うけど。これでも鬼だから。不覚にも鬼だから。

でもそうだね、2人に危害が及ぶのは宜しくないしね！そう思い立ち上がった炭治郎に続いて私も立つ姿勢を取る。と、

炭治郎が私に手を差し出す。


………イケメン。目の前にとんでもない推しが居る。


い、いいのかな！これ、触っちゃっても。殺されたりしないよね？突然斬られたり……いや、それはそれで本望か……？

……ゆっくり炭治郎の手に自身の手を重ねる。

二度と無いとか思ってた傍からこれって……。


「……あ、りがと」


炭治郎はアイドルにも負けてないスマイルを向けてきた。あ、もう幸せだ。むり、幸せ。

私鬼だけど。炭治郎を幸せにしたいと心から思った。



……この手に沢山できているマメの跡も。固くなった皮膚も。全て、禰豆子ちゃんの為に。大切な妹を人間に戻すために、汗や涙をたくさん流して努力してきたんだ。

禰豆子ちゃんが少し。羨ましいな…なんて思った。


炭治郎の大切の中に。私が入る隙間はあるかな。


鬼の、私が。

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