29--存分に笑っとけよ ページ29
.
「_____下がっていろ」
私の体を押して構えの体制に入った義勇さん。
彼が見つめる方向からは………酷く腐った血の匂いがする。
…………普通にちょっとびっくりした。一瞬私が斬られるのかと思ってしまった。義勇さんがそんな残酷な人だとは思ってないけど。私なんかに頭触られるの全身の毛穴がブワッてして体中で拒絶するくらい無理だったら有り得るじゃん。
義勇さんが毛穴ブワッてするかどうかは置いといてだ。
徐々に近づいてくる鬼の気配。鬼の体を手にいれた事で鋭くなってしまった五感がその鼻を突くような酷い匂いに過剰に反応して思わず顔を顰めた。
………………これが。鬼
うっすらと月の木漏れ日で見えたその顔や体は血だらけで、ほんの数分前まで人間を食らっていたことが嫌でもわかる。
「………………お?またエサか。わざわざ俺の縄張りに入ってきやがったのか?」
ニタニタと鬼は気味悪く笑う。
「……あ?お前、鬼狩りか。へ〜、俺を殺しに来たのかよ。」
義勇さんに向かって挑発するようにヘラヘラと笑っている鬼を心の中で心底たたいた。お前なんて義勇さんの凪で秒だから!!秒殺だからな!!!笑ってられんのも今のうちだから存分に笑っとけよ鬼!!!
ただ心の中でしか叩けないのは言うまでもないだろう。
流石に怖い。思ったよりキモイし臭い。よし○さんに会った時と同じくらい怖いほんとにチビる無理。
実際義勇さんの後ろにいる私はガタガタと今にも口からセルフガタガタが出そうな程に目の前の不本意な同種族に怯えている。
ずっと黙りこくっていた義勇さんがゆっくりと口を開く。
「…………………人は、どうした」
「んなもん聞かなくてもわかんだろ鬼狩りよぉ……………にしても、今日の獲物は良かったなぁ。ずっとガタガタしてやがる餓鬼を姉の方がひたすら庇って。「この子だけは、この子だけは」ってず〜っと泣いてやがって。ずいぶん滑稽だったぜ……………………まぁ」
「____どうでもいいから食ったけどな」
その言葉を合図にしたように、義勇さんは刀を強く握りしめ人間の目では観測できるはずのない速さで鬼の傍まで寄った。
2837人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メア(プロフ) - やあさん» アニメ以降の無限列車編のみネタバレとなります! (2019年12月16日 8時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
メア(プロフ) - 紅葉さん» お返事遅くなりすみません!うおお好きが沢山…めっちゃありがとうございます!!続編から先もよろしくお願いします!! (2019年12月16日 8時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
やあ(プロフ) - この作品、ネタバレありますか…?? (2019年12月16日 2時) (レス) id: 3fd8182389 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - むっちゃ好きです大好きですこんな素晴らしい作品をありがとうございますそれでは続編行ってきます!(ノンブレス) (2019年11月24日 9時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
メア(プロフ) - カオリさん» そうなんですか…!すみません、ご指摘ありがとうございます!頸動脈切ったら即死に変えさせていただきます! (2019年11月11日 20時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メア | 作成日時:2019年10月5日 22時