45--間に合え ページ45
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「______A!!!」
見なくても分かった。
どんな気持ちで、どんな顔で、どれだけ心配してくれていたのか。
苦しい程伝わってくる
たった一言。名前を呼ばれただけなのに
心から。あぁ、やっぱり彼が好きだなぁ。と思ってしまうんだ。
「っ、……………たんじろ」
会いたかった
顔を見たかった
心細かった
今すぐにでも抱き締めたい
でも今は
「来ないで!!」
戸惑いを含めた言葉が小さく「ぇ」と聞こえる。
彼の声を聞いた途端。鬼は不敵に笑っていた。
その意味を理解して咄嗟に声を発した私は先程の猛攻撃を避けた事によって後ろに倒れかけた体を、何とか地面に足を付ける事でバランスを保つ。
そのまま精一杯の力を込めて炭治郎の方へと跳ぶ。
たぶん、手持ちをナイフへと変えた時から決めていたんだ。狙いは私じゃなくて
炭治郎に。
私達はまんまとその狙いに乗せられてしまったわけだ。
炭治郎も人より優れた嗅覚を持っているのだから気づいていてもおかしくないはずなのに。
自分目掛けて真っ直ぐ飛んでくるナイフにようやく気づいて途端に目を見開く。
今からじゃ型を使うのは難しい
間に合え、間に合え
____ドスリッと
途端に鈍い音と共に激しい激痛が背中を襲う
.
「……ぁ、…A…」
「…………だい、じょぶ…?たんじ、ろ」
「ぁ、ァァぁァ、あアアッ、A!!!!」
私が押したことによって地面に尻もちを着いた炭治郎が焦ったように叫ぶ。
目には、心做しか薄い涙の膜が貼られている。
「……へーき、だよ。私は、鬼だから」
「でも……っすまない!俺の、俺のせいでッ……!!」
「たんじろ、は……悪くない!」
私が鬼の目論見に気づかなかったから
私が………弱いから
だから、炭治郎にもそんな顔をさせてしまう。
今にも泣きそうで砕けそうな
哀しみに溢れた顔
「………酷い、顔だよ。私は、たん…じ、ろの。笑った顔…好きなのに」
「笑えるわけないだろッ!Aが、こんな………」
だから、私は再生できるから大丈夫だって言ってるのに。全く炭治郎は心配症だなぁ。そういう所が好きなんだけど。
でも、少し視界が霞んできた
なんだか頭もグルグルする
…………ナイフに毒塗ってあるなら先に言ってよ。
身体から力が抜けてそのままゆっくりと前に倒れ込む
そういえばとAは思い出した。
バ〇オハザードはゾンビだったな、と。
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メア(プロフ) - やあさん» アニメ以降の無限列車編のみネタバレとなります! (2019年12月16日 8時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
メア(プロフ) - 紅葉さん» お返事遅くなりすみません!うおお好きが沢山…めっちゃありがとうございます!!続編から先もよろしくお願いします!! (2019年12月16日 8時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
やあ(プロフ) - この作品、ネタバレありますか…?? (2019年12月16日 2時) (レス) id: 3fd8182389 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - むっちゃ好きです大好きですこんな素晴らしい作品をありがとうございますそれでは続編行ってきます!(ノンブレス) (2019年11月24日 9時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
メア(プロフ) - カオリさん» そうなんですか…!すみません、ご指摘ありがとうございます!頸動脈切ったら即死に変えさせていただきます! (2019年11月11日 20時) (レス) id: 80100b30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メア | 作成日時:2019年10月5日 22時