プロローグ ページ1
命はどうして平等ではないのか――、と苦しめられた。
ナイトメア。
朝靄が立ち込める中、俺は来山坂を自転車で下っていた。来山坂はこの街の小山坂、実山坂の坂中で一番急な角度で、距離も1.5ｋｍ。子供の足じゃまず走り切れないだろうし、大人の足でも少しキツい。中高と運動部に入っていなかった俺なら尚更だ。
夢を叶えるため、体力作りのため、半年前から朝刊配りを始めた。自転車で休みなくペダルをこぎ続けてきたからか、息切れもそうしなくなった。
初めは大変だと辛く思ったが、こうなると息切れに達成感を感じてしまう。秋に突入しようとしている季節だが、衣替えはまだしておらずグレーのＴシャツを着ている。秋風が、程良く汗を掻いた腕を撫でる。
朝の仕事は終わった。遂に明日は６回目の給料日。配達が終われば、事務所で給料が手渡される。起床時、一番にカレンダーに赤丸をつけてきた。赤丸が、星で囲まれた30という数字に近づいていく。俺はそれを思い出し、ニヤニヤが止まらなくなった。
(給料日、何を買おう……)
俺が彼女とあったのは、１週間前のこと。昼バイトしているラーメン屋の店長に怒鳴られて、公園でふてくされていた。
夜のブランコに座って、自動販売機で買った安物コーヒーをビールだと思いこみ、ぐっと飲む。来山坂の一番上。登った所にブランコとジャングルジム、回って遊ぶ卵型の遊具、ちょっと大きい公園からは、夜景と星空が見えた。
望洋とそれを見て、溜め息混じりにコーヒーを飲み干す。さっき、電車が公園の目の前にある空き家に隠れた。さっき、あそこの信号が赤になって何台もの車が止まった。さっき、学校の教室の電気が消えた。
俺は団体行動から外れた人間。水をふくんだ滑りやすい黒い絵の具に呑まれそうになる。
ドウンーー。
鉄と鈍角があたった音。ジャングルジムからだ。星空をバックに、ひとりの女の子がてっぺんに座っている。…………気づかなかった。
じっくり見てみると、ピンク色に染めたボブの髪の毛には星のピンがふたつ、ピンク色のパーカーの下には黒のボーダーシャツ。
噛み締めた唇は、跡がつくほどに力が入っている。
俺の意識が彼女に引き込まれていく。身体に1000度の鉄の釘が打ち込まれる。一目惚れだった。
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 架空夢想像さん» イベントに参加させてもらった者です。御高覧、ありがとうございます♪ 作品との出会いって大事ですよね(*^O^*) (2015年9月9日 20時) (
レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
架空夢想像(プロフ) - とてもいい作品でした！この作品に出会えたことに感謝です (2015年9月9日 19時) (レス) id: d18e4db244 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 山吹草さん» 山吹草さん、ありがとうございますー！ 私もめるちゃん大好きだー！(*^^*) (2015年5月20日 11時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
山吹草(プロフ) - キャラがとてもいきいきしていて、思わず感情移入してしまいました！ 何よりめるちゃんが可愛い…♪ 最初はニコニコしながら読んでいたのですが、屋上のシーンから涙がとまらな…く… あ、あれ？また涙が…。(あ、これマジの方です。) (2015年5月20日 5時) (レス) id: e8988734ef (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - PPさん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！ 泣くと身体に良いそうですね。俺も泣こうかな……。/めるがもし直人に会ってなかったら……と思いながらエピローグを書かせていただきました。俺は、小さな恋の歌を聞いてましたねｗ しょこたんも聞こう……ｗ (2014年9月29日 20時) (レス) id: e3161d1476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2014年9月20日 20時
