ブラスバンド・フレンド！ (ページ5)

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5.パート練ページ5

少し歩くと、3年1組に着いた。

ガラララ……

「失礼します」

中に入ると、まだ誰も来ていなかった。

2人で席や譜面台を用意していると、先輩たちが教室に入ってきた。

「｢こんにちは！｣」

私たちは元気よくあいさつした。

先輩に会ったらすぐあいさつ、吹奏楽部の決まりはしっかり守らないと。

響也「こんにちは、パートリーダーの辻です。
パート練は初めてだけど、よろしくね」

千洋「私は2年の藤田千洋(ちひろ)。
これから一緒にがんばろーね！」

「｢よろしくお願いします！｣」

辻先輩はパートリーダーなのでいろいろな話を聞いていたが、藤田先輩には初めて会った。

ショートカットがかわいくて、親しみやすそうだ。

みのり「私は篠原みのりです！
小学校ではコルネットを吹いてました」

しおり「私は、笹川しおりといいます。
えーと、これからよろしくお願いします」

みのり「しおりは、小学校でフリューゲル吹いてたんです」

千洋「そうなんだ、すごーい！
2人とも経験者なんだね！」

響也「よろしくね。
じゃあ早速だけど、音出し始めようか」

「｢はい！｣」

響也「1人ずつ、B♭くれる？」

私とみのりは小学校で吹奏楽クラブに入っていたから、音階や運指くらいはすぐに分かった。

みのり「私がやります！」

みのりが先に手を挙げた。

息を吹き込む。

《パーン！》

澄んだ音が教室中に響き渡った。

千洋「うわ、すごーい…」

先輩も想像以上だったようで、驚いている。

みのりはいい音を出せて喜んでいるけれど、次は私の番だ。

楽器を構えたが、フリューゲルより重たくてなんだか慣れない。

〈プゥー〉

緊張したせいか、こもった変な音が出てしまった。

((最悪……))

響也「緊張してたんだよね。
慣れれば大丈夫だよ」

先輩にまで励まされてしまった。

練習が終わると、みのりに声をかけられた。

みのり「そんなに落ち込まないでよ、しおり！
一緒にがんばろ。ね？」

いつもは仲良しのみのりの言葉も、今日は頭に入らなかった。

みのりは上手だけど、やっぱり私には無理なんだ。

私は、もっと自信をなくしていた。