◇君の嫌いな理由◆ (ページ17)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:72,076 hit

１７. ページ17

「A」

告白ってこんなものか。

そう思う程大倉のことばかりを考えた。
断る？それとも付き合う？

ぐるぐる回ってパンクしそう。

でもいつまでも引き延しには出来ないだろうし
かと言って誰かに相談するなんて以ての外。

私の中で相談出来る人なんてタカが知れてる。
でもその１人すばるには絶対出来ない。
残る亮君には、何と無く言いづらい。

はぁってため息をついてもついても
悩みなんて吹き飛ばされない。

はぁって何回かのため息を吐き出すと
誰かの手がひらひらと私の顔の前で振られた。

はっとして顔を上げると
困った顔と心配そうな顔をした亮君がいた。

あれ？

「ど、どうしたの？」

「もう放課後やねんけど」

「え！？うそ！！」

「ほんま」

あれ？さっきまで現文をしてたはず。

時計を見ると亮君の言うとおり下校時刻。

大倉達もいなくて教室には数人のクラスメイトがちらほら。

「どないしてん、A」

「え…いや…うん」

「なんか、あったん？」

「…うーん…」

「話聞こうか？」

「…ううん、大丈夫」

はっきりしない私を亮君はずっと心配そうで。
飽きもせずに話を聞こうとしてくれる。

でも、亮君に何て言えばいい？
それより大倉と付き合えなんて言われたら。
どうしたらいい？

「…コクられた？」

「…はい！？」

「…！図星？」

勢いよくぶんぶんと首を振ると
ムッとした顔をする亮君。

ムッとしてるっていうより
何だろう、拗ねてる？

「なんで、それ…」

「ただの勘」

「あ…勘」

「当たるとは思わへんかったけど！」

「あ、当たりとか、まだ言ってないよ！」

「まだって何やねんまだって！」

「……あ」

ふんって亮君がそっぽを向く。
口が滑った。完全に私のミス。

「……誘導尋問だ…」

「人聞きが悪いやんけ
Aの口が軽かっただけ」

「……んー…」

ばさりと力尽きて机に突っ伏すと
亮君がふわりと頭を撫でた。

小さな小さな亮君の声。

「Aはそいつが好き？」

「…お友達としては」

「そいつを好きになれる自信は？」

「…分からない」

「そいつとおって楽しい？」

「…うん」

「…そっか
A、顔上げて？」

亮君の言うとおり顔を上げると
真っ直ぐに私を見つめる亮君。

ふわりと私を見て笑みを零した。

「Aが誰を選んでもええと思うで？」

「…え？」

「好きな奴がおるならそいつと付き合えばええし
そうやない奴と付き合うてもええと思う」

「…うん」

「俺は側におるよ」