◇君の嫌いな理由◆ (ページ14)

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１４. ページ14

「そないな顔、せんといてってこと」

「…っうるさい」

「Aは…」

大倉がふと寂しそうな顔をして
取り繕うようにご飯を食べてる。

気付かれたかな。
すばるへの気持ちに。

笑う笑顔にこんなにも胸が痛くなるのは
きっと私に向けられていないから。

「何？私は？」

「…んーん、何もない」

「何それ」

ふって笑ってA食べへんの？って
何でもない顔するから突っ込めなくて黙った。

「…大倉先輩！」

「ん？」

「あの、甘いもの、お好きですか？」

「んー？ニガテやけど、なんで？」

「…いえ、あの…」

あ。気付かれた。

丸く目を見開いた後輩ちゃんの視線は
未だ繋がれたままの私と大倉の手。

やばいと思ってするりと離すと
不満げな顔を私に向けてきた。

いや、気付かれて解かない方が馬鹿でしょ。

「……あの、大倉先輩」

「ん？」

口をむーっとしてもぐもぐ口を動かしてる。
机に座ってるからある意味上目遣い。

ちょっとどころか大変鈍感な野郎は
そんな風にされて顔を真っ赤にしてる後輩ちゃんの気持ちに
多分、一ミリも気付いてない。

「彼女とか、いますか？」

「………どうやろ？」

くふりと笑って後輩ちゃんからご飯へ
視線を戻す大倉。

ねぇ、ほら。
いないんだからいないって言ってあげなよって
思わず言いたくなるくらい後輩ちゃんが悲しそうな顔をする。

「…ごめんなさい」

そうぽつりと呟いて
ぺこりと頭を下げて教室から出て行った後輩ちゃんの背中を
思わず見つめてしまうのはしょうがない。

「…おい」

「ん？」

「あんな言い方せぇへんでもええやろ」

「…ん、後で謝っとく」

そうへらりと笑う大倉はいつものようで。

ばちりと目が合ったすばるは
キッと私を睨んだ。

「お前も」

「…え」

「邪魔、すんなや」

「…なに、が」

ゆらりと目の前が一瞬揺れた。

邪魔って、何？
そう聞く雰囲気じゃないのは明らかで。

そんなすばるにムッとしたように
言い返したのは大倉だった。

「すばる君こそ、Aにそないな口きかんでもええやん」

「あ？」

「A、なんもしてないで？」

「机、くっ付けてるやん」

「それは俺がくっ付けてん」

「・・・」

「すばる君Aのこと嫌いなん？」

「……そんなん、」

誰だって聞きたくないよ。

もし、当たり前やんって言葉が出てきたら
泣かない保証はない。

「トイレ、行ってくる」

「え、ちょ！A？」

思わず椅子から立ち上がったのは
仕方ないじゃん。