3 ページ8
「…そしたらグリムのやつ、作った魔法薬を誤って飲み込んでさ〜」
「えぇ…私のいない間にそんな事が?」
「あぁ、それで教室中がパニックになったんだ。
器具を壊されるわ、プリントを燃やされるわで…
クルーウェル先生、すごく怒ってたぞ。」
「はぁ……」
バルガス先生の授業を終え…
2人と一緒に廊下を歩いていた私達は、今は居ないもう1人の友人の話に花を咲かせていた。
飛行術の授業は、基本的に座学ではなく、実践の授業が多い。そのため、魔力の無い私は毎度の如く見学であった。幸いなことに、授業中はいつもエースか、デュースか、グリムの3人が私を乗せて空を飛んでくれるので、見学ばかりのこの授業を退屈に思ったことは無かった。
…その日は、3人とは魔法薬学の授業で別れ、飛行術の授業でまた落ち合うはずだった。
しかし、なぜかグリムの姿だけが見当たらず。
嫌な予感がして、授業が終わった後に2人に尋ねたところ、冒頭に至る。
「…じゃあ今、グリムは…?」
「"bad boy…躾がなってないな?"…ってお説教中。
反省文とか書かされてんじゃね?」
「反省文…」
「それはもう、カンカンだったからな…あんなに怒ってるクルーウェル先生は僕も初めて見た。
…ところでエース、今のはクルーウェル先生の真似か?全っ然似てなかったぞ。」
「………あ〜、うっさいな〜!別に似せてねーよ!」
絶妙に似ていないエースの物真似で、懇々とクルーウェル先生に叱られてるグリムの姿が想像できた。
後で私も先生に謝りに行った方がいいかもしれない。
グリムには……ツナ缶でも用意しておいてあげよう…と密かに考えた。
魔法史の授業に備えて教室に入ると、運のいい事に最上階の1番後ろの席が空いていた。いつもなら、フロイド先輩やレオナ先輩といった錚々たるメンバーが陣取っているのだが、今日は珍しくその姿がない。
ラッキー!と指を鳴らしたエースがそそくさと階段を上っていった。
「……珍しいな、後ろの席が空いてるなんて。」
「そうだね。デュースは…また1番前に座る?」
「あぁ…
いや…折角だから、今日は後ろにする。」
"優等生"をなぞった学校生活を送るデュース。
いつもなら私達とは離れて、1番前の席を進んで座るところだが…今日は珍しく素直だった。
なんだかそれが嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。
「ふふ…じゃあ、私たちも早く行こう。」
「………あ、あぁ…」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時