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…それは、ある時。
オンボロ寮で毛繕いしていたグリムに、私は縋りついていた。
｢グリムお願い！お耳を触らせて！！｣
パン、と手を合わせて頼み込むと、グリムはその可愛い顔をくしゃりと歪めた。
｢嫌なんだゾ。｣
｢えー、そんな！
いいじゃん少しくらい……あ、ツナ缶は？ツナ缶つけるよ！
それでもダメ？｣
｢良いんだゾ！！｣
"ツナ缶"のワードを出すと、手のひらを返したようにパッと顔を明るくするグリム。
ふっ……ちょろいな。
私は棚の中からツナ缶を取りだし、蓋を開けてグリムに与えた。グリムは嬉しそうにそれに飛びつく。
私はその頭に手を伸ばして……
｢あ"っぢい！！！！！｣
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｢…グリムの耳の中って、よく見ると燃えてるんですよね。だから、迂闊に触ると火傷しちゃうんです。というか、しました。｣
｢…あー確かに
…てか、なんで触る前に気が付かなかったんスかね。｣
｢いや〜気づいてはいたんですけどね？
ただ、目の前にモフモフの耳があったら、触らないのも失礼かなと思って。｣
｢……あ、そうっスか。
で？ジャックくんはどうだったんスか？｣
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…またある時。
私は、教室にいたジャックに縋りついていた。
｢ジャックお願い！お耳を触らせて！！｣
突然現れた私にビクッと肩を揺らしたジャックは、怪訝な顔をして聞き返してきた。
｢……は？耳？｣
｢うん、耳！お願い！
お耳触らせて貰えるなら何でもするからっ！｣
｢……興奮してるところ悪いが…その願いは叶えてやれないぞ。｣
｢そこをなんとか！！ちょっとモフモフするだけだから！中のフワフワのとこ指入れて、あわよくばペロペロするだけだから…………いてっ！！｣
突然ぽこっ、と頭に手刀を落とされる。ふと見上げると、顔を真っ赤にしたジャックがいた。もう片方の手で口元を隠し、こちらをキッと睨みつけ、ふるふると震えている。
｢…お、お前は何を言ってるんだ……！
頭を冷やせ、このヘンタイ！！｣
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｢…あんな顔されると、なんかセクハラしたみたいでいたたまれなくなりまして……｣
｢そのセクハラを俺にもしてる訳なんスけど、それについては一体どういう了見なんスかね？｣
｢それは…ほら、
ラギー先輩ってマドル積めば何でも許してくれそうですし……｣
私はそう言ってズボンのポケットに手を突っ込む。
そのために、今日はここに沢山マドルを入れてきたのだ。
｢…………｣
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- 恋愛運: ★★★☆☆
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- 全体運: ★★★☆☆
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作者名：わん | 作成日時：2023年12月12日 18時
