2 ページ38
____
__
_
"「……え!?降参??
ってことは、いいんですか?ほんとに!?」"
"「…はぁ〜〜〜…………
……社会的に死ぬくらいなら耳触らせた方がいいって判断したまでっスよ。俺的には許可してるつもりないっスけど、ね?仕方なくっスよ仕方なく。」"
"「ううう……!やったー!!
ありがとうございます、ラギー先輩!!
では、早速……」"
"「今じゃねぇ!!!!」"
_
__
____
廊下脇での攻防で見事勝利を勝ち取った私は、人気の少ない裏庭に移動することを条件に触らせてもらえることになった。低木を刈り込んだトピアリーの陰に隠れ、芝生の上に座り、先輩と向き合う。
先輩は唇を突き出し、文句ありげな顔で私を見つめていた。正直に言うと、ちょっとかわいい。
「…じゃあ、触ってもいいですか?」
「………………どーぞ。」
ぶつくさと文句を垂れながらも、頭を下げ、こちらが撫でやすいように耳を向けてくれる先輩。
私は手汗を入念に服の裾で吹き、先輩の耳に手を伸ばした。
「ふ、ふぉぉお…………」
フワッとした感触が手に触れ、思わず感嘆の言葉が漏れる。
こ……これが、先輩の耳……!
ツヤツヤで毛並みに覆われたそこは、指でなぞると跡がつくくらい繊細で柔らかい。耳の縁に指先を添え、掌で耳を覆い、スリスリと撫で回す。髪の毛の質感とはまた違う感触のそこは、ずっと触れていると熱を蓄え、温度が上がっていく。動物の毛って触れるとどうしてこんなに暖かいんだろう……
「…ひとつ聞いてもいいっスか?」
「!はい、何ですか?」
ふと、下の方から先輩が話しかけてきた。
見下ろせば、先輩の頭があるだけで、顔は見えない。
「……なんで俺なんスか?」
「…んっ?」
想定外の質問に虚を突かれる。
ぱちくりと瞬きを繰り返していると、痺れを切らしたようにもう一度先輩が口を開く。
「…だから、なんで俺に頼んだのかって聞いてんスよ。
うちの寮には沢山いるでしょ、獣の耳ついてるやつなんて。わざわざ俺なんかに頼むより、アンタといつも一緒にいるのとか…同級生の一年坊くんとかに頼んだ方が快く引き受けてくれそうじゃないっスか?」
ラギー先輩の言葉に、もわんとグリムとジャックの顔が脳裏を過る。
「勿論、2人にもお願いしたんですけどね……」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時