もふもふの耳、鋭い牙。 ページ37
【ラギ監】
「そこをなんとか……!お願いします!!」
「だーかーらー!嫌だって何回も言ってるっスよねぇ!?
っとに、聞き分けがないっスね!このアホっ!」
「ありがとうございます!!」
「褒めてないっスよ!気持ち悪いなぁ!!」
廊下脇で繰り広げられるやり取り。
周りの生徒達は、怪訝な顔をしながら私達を避けて通り過ぎていく。
監督生こと私、Aは今、モッフモフでキュートなお耳とフワッフワの尻尾をもつラギー先輩の目の前で、我が故郷の伝統の業、ジャパニーズ土下座をかましている。
その理由はただ一つ…
……耳をモフりたい!!
からである。
でも、どれだけ頼み込んで土下座までしても、先輩の反応はご覧の通り。
断固拒否!の一点張りだ。
「……もう、どうしてですか。
こんなにお願いしてるのに……わがままですね…」
「わがまま言ってんのはアンタの方っスねぇ…
あ……こらっ!足を掴むな!!」
「うえーん、お願いしますよぉ… ちょっとだけですから!モフモフするだけですから!中のフワフワのとこ指入れて、あわよくばペロペロするだけですから!!」
「…なんかもうわざと気持ち悪い事言ってないっスか?
ダメなもんはダメっすよ。ほら、シッシッ。」
「あーん、そんなゴミを見るような目で見ないでくださいよぉ…」
「……あー!もうしつこいな!
どっから出てんスか、その馬鹿力!!」
私を振り落とすように足を動かすラギー先輩。
負けじとその足を抱え込んで抵抗していると、ふと、周囲の生徒達がざわついているのに気付いた。
"先輩(男)の足にしがみつく後輩(女)"の構図に、好奇の目が集まっている。
ラギー先輩はそのモッフモフの耳をびたーっと伏せさせ、徐々に不安げな顔つきへと変わっていく。
「……っ、ち、ちょっと、なんかめちゃくちゃ見られてるじゃないっスか……!もう、離せってば!変な噂立てられたらどうするんスか!!」
「…先輩の耳がモフれるのなら、それも吝かではない…
社会的に死ぬという致命傷で済みますからね!」
「いや、それもう助かってないっスよね!!!」
先輩の的確なツッコミが入り、たしかにと小さく呟く私。
事態は膠着状態で、未だ周囲のざわつきは止まない。
先輩はキョロキョロと辺りを見回した後、盛大なため息をついて、両手を上げた。
「……っ!
あー、あー、もう分かりました。
俺の負けっスよ、降参降参!!」
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作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時