【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ30)

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｢……籠りっきり……？｣

私が小さく復唱すると、ケイト先輩はきゅっと眉根を寄せて、神妙な面持ちでこくこくと頷いた。

｢……そうそう。ここ最近はずーっと忙しいみたいでさ〜、リドルくんの補佐の仕事がある上に、魔法史のグループワークの発表でリーダーを務めてたり、来週に迫った何でもない日に作るケーキのレシピ考えてたりで本当に大変みたい。
でも本人は至っていつも通りに振舞っててね。あれ、絶対ストレス溜まってるよ。俺には、お見通し。｣

｢……そ、そうなんですね…｣

トレイ先輩は、多忙なのか……
1人、心の中でそう考えていると、ケイト先輩がぱっと妙案が思いついたかのような顔をして、私の方に向き直った。

｢あ、そうだ！ねぇ、Aちゃん。｣

｢……はい、何でしょう？｣

私がそう聞き返すと、先輩はパチンっとウインクしながら、口を開いた。

｢トレイ君に会いに行ってあげてよ♪｣

｢……え？｣

俺ってばナイスアイディア！と1人で盛り上がるケイト先輩に、私は慌てて言い返す。

｢ち、ちょっと待ってください！
トレイ先輩はとても忙しいんじゃ……｣

｢だからこそ、だよ！
疲れてる人には癒しが必要でしょ？｣

｢……癒し。｣

｢あのままだとトレイ君、絶対倒れるよ。
だからここは、Aちゃんがトレイくんをぎゅーっとハグしてあげてさ♪｣

｢……ハグ。｣

思考停止した私を他所に、ケイト先輩は廊下の方へぐいぐいと背中を押してくる。

｢うわわ、す、ストップストップ！
癒しが必要なのは分かりますが……さ、さすがに、は、は…ハグは、できっこないです！｣

｢ええ〜そう？恥ずかしがり屋さんだな〜
じゃあ、生存確認がてら、様子だけでも見に行ってあげてよ！ね？それならいいでしょ？｣

｢生存確認って……｣

私は…押しの強いケイト先輩に抵抗するのはもうやめて、大人しく従うことにした。

コツコツと2人分の靴音が廊下に響く。

…トレイ先輩に会ったら何を話すべきだろう。

___

｢はい、とーちゃく♪
ここの通路の突き当たりから二番目の個室が、トレイくんの部屋！
グリムくんの監督は、代わりに俺がしておくから安心して？

……じゃ、あとは頼んだよー！｣

目的地に着くや否や、ケイト先輩はそそくさとパーティ会場へ戻って行った。

残された私は、人知れずため息をつく。
ケイト先輩の後を追って戻る気にもならず……私はそろそろとトレイ先輩の部屋へ向かって歩き出した。