【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ28)

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ハーツラビュル寮にやってきた日の夜。
リドル先輩のご好意で私達の歓迎会が行われた。
といっても、小規模なもので参加は自由。
参加者はパーティ好きな寮生と、顔見知りがチラホラいるくらいだった。
美味しい料理やデザートがテーブルに並べられ、親友の2人も真っ先に顔を出してくれたので、小規模ながらも楽しいひと時を過ごすこととなった。

｢…しっかし…"あの"寮長が、こんな粋なことしてくれるなんてね〜｣

｢あぁ、明日は矢が降るかもしれないな。｣

｢…首をはねられたい生徒が2人いるようだね？｣

私の両隣で親友がコソコソと内緒話をしていると、遠くからリドル先輩の声が飛んでくる。

｢うわ、地獄耳かよ……やっべ、杖持ってる！｣

｢ほ、本気で怒ってるぞ…！
あ、待て！僕を置いていくなエース！｣

｢へぇ…謝らずに逃げるとはいい度胸じゃないか！｣

いの一番に逃げ出したエースの後を追ってデュースも席を立つ。
それを追いかけるように、リドル先輩が私の背後を通り過ぎて行った。

…ご愁傷さまです。

膝の上から聞こえてくるグリムの笑い声と共に心の中で手を合わせる。

｢ふふ、今日は無礼講ってことでそれくらい許してあげてもいいのにねー｣

ふと、エースが座っていた席に見覚えのある先輩が腰を下ろした。

｢…ケイト先輩。｣

蜂蜜色の髪を揺らしてこちらを覗き込んできたのは、ケイト先輩だった。相変わらず、キラキラした明るい笑顔を浮かべている。

私もそんな彼に微笑み返すと、ケイト先輩は1枚のお皿を私の前にずいっと差し出してきた。

｢ねね、これ食べた？｣

｢えっと…？｣

ケイト先輩から差し出された皿に視線を落とすと、その上には可愛らしいケーキが乗っていた。

｢…いえ、まだです！
とっても美味しそうで……ぐぇぇ｣

｢美味そうなチョコケーキなんだゾ！これは俺様のだ！！｣

突然視界の前に黒い塊が現れ、小さな肉球で顔を押し戻される。…痛いよグリム。

｢あははっ、そう言うと思って2人分取ってきたからね。
ほら、こっちがAちゃんの分。｣

｢うぅ……ありがとうございます……｣

グリムに押された鼻を撫でつつ、ケイト先輩が差し出した皿を受け取る。

そこには、先程見たものと同じケーキが乗っていた。